龍と花
お出かけ 2
五十嵐家を出て一時間、車内では沈黙が続いていた・・・気まずい
窓からの景色をボーっと眺める
出発してすぐは全然見たことのない景色だったけど、段々知っている場所もちらほら見えてきていた
・・・どこに向かってるのかな・・・?
「楓」
ふいに龍也に呼ばれてビクッと肩が跳ねる
「何ですか?」
「今からお前の住んでいた街に行く」
「ぇ・・・本当に?!」
「あぁ」
昨日ぶりの我が家だ・・・
窓の外を眺めながら、到着を待つ
龍也の顔が不機嫌そうに歪んでいたことを、浮かれていた俺は気づかなかった
そこから車に揺られること三十分、龍也に肩を揺すられて目が覚めた
どうやら寝てしまっていたらしい
「着いたぞ」
「ん・・・ぅ」
眠 い・・・まだ寝ていたい
うまく回らない頭のせいで体がふらつく、そのせいで龍也にもたれてしまった
「・・・ったく、犯すぞ」
「っは!!」
それはいけない
耳元で妖しいことを呟いた龍也から距離をとる・・・一気に目が覚めた
「くくっ、よし、降りるぞ」
「はい」
車から降りて歩いて行った龍也の後を小走りで追いかける
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