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悪魔の取扱説明書
2.悪魔について分かったら
あれから妙に気になって小森美里についてクラスの奴等に聞いてみると、意外にも聞いた奴ら全員ヤツのことを知っていた。

2年B組 出席番号15番。(俺より一つ年上だ)
生徒会 副会長であり、女子剣道部 主将。
成績も学年10位以内で至って優秀。
先生たちにも一目を置かれており、現生徒会長よりも信頼は置かれているらしい。

模範的な優等生タイプである。


「あいつ、そんなに有名なんですか?」
「そっか、獄寺くんはこの前の生徒会選挙の時サボっていなかったんだっけ」

学校帰りに10代目に聞いてみた。
やはりこの御方もご存じのようだ。

10代目によると、数週間前に行われた選挙時に"生徒会長の手綱は私が握ってやるから安心しろ"などと宣言し、多大な支持を受けたとか。
…どれだけ頼りない生徒会長が選ばれたんだよ。


「小森先輩って剣道部の人とか生徒会の人たちには"悪魔"だとか"鬼神の生まれ変わり"だって言われてるんだって。でも俺、一度話したことあるけど、そんなにおっかないような人には感じに見えなかったんだけどなぁ…」

10代目は首を傾げていらっしゃるが、騙されてはいけません!
あいつは男を拳骨で殴るような暴力女なんですよ!!

どうやらヤツは俺と10代目が会う前に何らかの接触があったらしいが、10代目はあまり喋りたがらなそうなので、あまり詮索するのは止めにしておく。(きっとあの暴力女が10代目に何らかをやらかしたのだろう)


「でも獄寺が女の子の話するの珍しいのな!」

"一目惚れでもしたのか?"と聞いてくる野球バカ。
んなわけねぇーだろうが!!!

ボムを投げつけてやろうかと思ったが、10代目がお止になられたので悔しいが仕舞い直した。
いつかぜってー野球バカを果たしてやる…。

くそ!イライラするのは、それもこれも絶対ヤツのせいに違いない!

俺は転がる石ころを思いっきり蹴飛ばした。


 * * *


"あいつ、そんなに有名なんですか?"

獄寺くんが女の人の話をするなんて本当に珍しくて(自分で言うのも変だけど、いつも"10代目""10代目"って、俺のことばかりなのに!)、山本じゃないけどもしかしたら彼は恋をしているのかもしれない。
もちろん彼自身は自覚していないし、認めないだろうけど…。

もし本当にそうなのであれば、彼にとってはいい傾向だし、応援してあげたい。

俺は小森先輩と初めて会話した時のことを思い出した。





『沢田綱吉はいるか?』

急に呼び出された俺は大層驚いた。
教室のドアに手をかけて、ひょっこり顔を出していた人は人形みたいな顔だちをしていたからだ!!
クラスは一気にざわめき、"なんでダメツナが!?"という言葉が飛び交う。

俺は注目されるのが恥ずかしかったけど、おずおずと手を挙げた。

『えと、沢田は俺ですけど…』

そうか、と彼女は2年生なのに1年のクラスにズカズカと踏みいれる。
そして俺の目の前に立つと、お辞儀の見本じゃないかと思うくらいに奇麗に頭を下げのだ…!!


『持田剣介の件はすまなかった』

先日の京子ちゃんを賭けた試合についてらしい。
持田先輩は京子ちゃんを商品として扱い、且つ己が目立ちたいがために俺に勝負を挑んだ。
あの時はリボーンが撃った死ぬ気弾のおかげでなんとか俺は持田先輩に勝利し、一件落着したはずだ。

どうやら彼女は女子剣道部の主将で、今回の件は自分たちの指導不足だったとお詫びに来たのだと言う。
俺は慌てて気にしないでほしいと言ったのだけど、彼女はそうはいかないと、持田先輩やグルだった剣道部の先輩たちを呼び出して土下座までさせた。(恥ずかしかったけど、少しスッキリしたのは内緒だ)


そんなことを思い出して、俺は少し笑った。
本当にあの先輩はしっかりした人だと思う。

片や生徒会 副会長や剣道部 主将を担うしっかり者。
片や授業をサボり常習犯の不良少年。

この二人は今後どうなっていくのか、すごく楽しみだなぁ!


【2.悪魔について分かったら】

今度は話しかけてみてください。
案外良いヤツかもしれません。


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あきゅろす。
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