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頂き物小説
デイリー×ホリデー
※この作品は妹背鳥で連載されている「そらとくも」の番外編です。名前の変換はありません。デフォルトで"夏姫"となります。


【デイリー×ホリデー】



月曜からずっと雨続きだったその週は、週末になると太陽が顔を現し、天気のよい休日となった。
そんな日に出かけない手はない、と夏姫は家を飛び出した。
友達を誘おうかとも思ったが、今日はマイペースに買い物をしたい気分だったのでそのまま商店街へ繰り出す。

商店街は朝からやけににぎやかで何事かと様子を見つつ歩いていると、屋台の準備をしている男たちを見かけた。
そこで、そう言えば今日は小さなお祭りがあるんだった、と思い出す。
後からそっちにも言ってみようと思いながらまず向かった先は本屋。
お気に入りの漫画の新刊目当てでやってきたがうろうろと店内を廻り、おもしろそうな本2冊も手に、レジへと向かう。

ふと、レジの奥を見ると祭りのポスターが貼ってある。

「・・・並盛中風紀委員・・・?」

そのポスターにありえない名前を見付と思わずつぶやくと店員は、あぁ、とこともなげに頷いた。

「並盛町の祭りは風紀委員の管理下にあるんだよ」

あるんだよって・・・たかが公立中学の委員に何故そこまでの権限があるのか。

「ヒバリさんが仕切るんですか?」
「仕切るって言うか・・・そうだなぁ、しいて言えば舞台裏の統率かな?」
「へぇ・・・じゃぁヒバリさんも街にいるのかな?」
「いると思うよ。・・・ま、会えばただじゃすまないだろうから大人しくしとくのが得策だね」

その言葉には曖昧に返事を返して代金を支払う。

「ま、よかったらお祭りにもおいでよ。友達連れてさ」
「はい、そうします」

買った本を受け取って、店を出て、さてどうしようか。

祭りまではまだまだ時間があるし、かと言っていったん家に帰るのは面倒だし・・・だったらその時間まで街をぶらつくしかあるまい。
どうせだったら雲雀を探してみようか、と考える。
そうと決まれば早速、と歩き出した。
風紀メンバーを見つけるのは簡単だし、そこからたどれば雲雀に行き着くのも時間の問題だろうと思っていた、ら

(み・・・見つからない・・・)

どこをどう歩いているのか、学ランのがの字も見つからない。
おなかがすいて、とりあえずメイン通りに面した喫茶店で軽い食事を取りつつ窓の外を見やるがやはり見当たらない。
そろそろ通常の見回りも時間でもあるんだから1人くらい見かけてもいいのに・・・とため息をついていると、急に店内がしん、と静まり返った。
あれ?と周りに目をやると、皆一点をみつめたまま固まっている。
皆の視線の先にあるのは店の入り口、そして、

「ヒバリさんだ!」

夏姫の声にびくっと一同の視線がこっちを向くので思わず身構えてしまう。
雲雀はそれらに一向に構わず夏姫の向かい側の椅子に座ると、勝手に夏姫が飲んでいたアイスティーを飲み干す。

「・・・なにこれ、甘い」

勝手に飲んでおいて、文句を言う。

「ガムシロップ入れたから」
「こんな甘ったるいものばかり食べていたら太るよ」
「ほっといてください!」

憮然としつつ、ウェイトレスを呼んで新たにアイスティーと、あとアイスコーヒーを注文する。

「お仕事中ですか?」
「とりあえず終わったよ」
「もう?お祭りまだなのに」
「それはそれ」
「あ、そうなんだ・・・じゃぁヒバリさんもお祭り行くんですよね?」
「遊びに行くんじゃない」
「分かってますって。私も一緒に行っていいですか?」

折角の祭りなんだから雲雀と一緒に、と言外にかもしてみれば雲雀はいまいち気乗りしかねるようだった。

「腕章は?」
「ぅえっ?」
「風紀委員の腕章」
「・・・家に置いてます」
「だったら・・・」
「今から取ってきます!取ってきますから!」
「3分以内に戻ってくるんだったらいいよ」
「え・・・せ、せめて10分・・・」
「なにそれ?3倍以上になってるよ」
「だったら9分・・・」
「そう言う問題じゃない」

そこ10分くらいいいじゃないか、とぶすっと拗ねてみれば、雲雀は仕方なさそうに仰々しくため息を吐き出して、懐から新しい腕章を取り出す。

「特別に・・・その代わり、少しでも僕に逆らえば咬み殺すから」
「・・・・・・・・・・・・」

スペア持ってるんなら最初からそうしてよ。

「なに?その不満そうな顔。嫌なら・・・」
「分かりました!」

大体、条件普段と変わらないし!とか言いたいことは他にも山ほどあったがここで機嫌を損ねては拙いので不承不承ながらも頷いておいた。

「おっ、お待たせいたしましたー・・・」

ウェイトレスが恐る恐る持ってきたドリンクを受け取って、コーヒーは雲雀に渡すとまたも一気に飲み干してしまう。

「・・・もしかして暑かったんですか?」
「暑い」
「・・・・・・」

だったら学ラン脱げばいいのに・・・腕章だってそうだが、雲雀のこだわりの深さに内心呆れつつ、夏姫もアイスティーに口をつけた。

「じゃぁもう行くよ?」
「ぅえっ!?は、はい、行きます!」

慌てて立ち上がって財布を捜していると横から「腕章」と言われ、わたわたと腕に腕章を取り付ける。
では改めて、と財布を捜せばいつの間にやら伝票持って行ってしまっていた雲雀を追いかけたが間に合わず。

「あ、あのお金・・・!」
「いいよ」
「・・・あ・・・ごちそうさまです」
「って言うかホントに1人でコレだけ食べたの?太るよ?」
「・・・・・・・・・」

なんだろうこれ・・・?最近太ったって遠まわしに言ってるんだろうか・・・。

それから、祭りの会場へと向かった夏姫はモーセが海を割るが如く人ごみを割って歩き回る雲雀にあっちこっち連れまわされ、時に絡まれかけても風紀委員腕章と雲雀のトンファーで撃退しつつ、一般の祭りの楽しみ方とか程遠い祭りを過ごした。
まぁ予想はしていたことだし、雲雀と一緒にいたことに意味があるのだと、これはこれで楽しい1日だった。
帰りに草壁にりんご飴を買ってもらったら雲雀がそれを捨ててすぐに新しいのを買ってくれて、その謎だらけの行動に首を傾げつつも雲雀に礼を言えば満足げで、まぁこれもこれでいいんだと笑っておいた。


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妹背鳥の後田様から頂きました!
運が良いことにキリバンの代打を募集なされていたので"これはリクエストしなきゃもったいなくね!?"と図々しいことに掲示板で名乗り出たわけで…。すすすすみませ…!!

「そらとくも」の夢主ちゃんは綱吉の従妹さんで大変可愛らしい方なのですよ!
ほんわかしているのに、正義感が強いという一面もあったり…。
このギャップにトキメキ☆ますよね!

私の我儘なリクエストを素敵な作品にしてくださり、ありがとうございました!!


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