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頂き物小説
遠回りでいいから
それは突然で――必然だった。



その日私は、ボンゴレファミリー十代目となる沢田綱吉――ボスの護衛として、とある会議に参加していた。

といっても他の護衛同様、影に潜む程度ではあったが。


懸念していたボス同士の抗争もなく、会議はいたって平和に終わった。

わらわらと他の要人たちが席を立ち、ビップルームを出ていく。

私は主であるボスのそばへ歩み寄った。

「会議、お疲れ様でした」
「うん、ありがとう」
「・・・・・・あれ。冷えてますね、ボス」
「そう?」

猫がじゃれあうように私は色素の薄い髪に指を絡めた。

「くすぐったいよ」

くすくすと笑うボス。

「あ、すみません。私ったら・・・」
「いいよ、リマになら何をされても」

最近――ここ数ヵ月、ボスはなにかと、こういった甘い台詞を吐いてくる。
その度に免疫のない私はどうしたらよいのかわからず、慌ててしまうのだ。

「ボ、ボス、私は――」
「ストップ。その先は言わないで」
「でも」
「好きな子くらい守りたいよ、俺だって」
「好きな子・・・って・・・」
「わからない?そんなわけないよね、リマは鋭いもん」

もん、と言われても・・・。

私はじわじわと自分の顔が熱を持つのがわかった。

「でも・・・でも、それじゃあ私がボスのそばにいる理由がなくなってしまいます」
「理由?」
「はい、私はボスの護衛ですから」

守られてばかりではいられない。

「そう・・・・・・。理由ね。理由が欲しいのなら、あげるよ。好きなだけ」
「ボ」

ふわり、とすぐ近くで薫ったのは、なんの香りか。

(・・・そうだ、これはボスがいつもつけている香水の――)

「どう?わかった?」

唇に残るのは、柔らかい感触。

私は思わず自分の口をおさえた。

「リマ、初めてだった?」
「はい、初めてで・・・って」
「そう」

どこか嬉しそうに笑うボスを前に、馬鹿正直に答えてしまった私はこれ以上ないほどに顔を赤くした。

「・・・・・・リマは髪を切って少し首が寒そうだね」
「・・・・・・え、わかりますか?昨日毛先をほんのちょこっと揃えただけなんですけど」
「わかるよ、リマのことなら、なんでも」

だから

「はい、これ」

ふわり、と今度は首に暖かい感触。
すぐにそれはボスのまいていたマフラーだと気付く。肌触りのいい高級な一点ものだ。

「だ、ダメです!ボス!風邪をひいてしまいます!」
「大丈夫、これくらいで風邪をひいたりしないよ。鍛えているからね」
「でも!」
「うーん・・・じゃあそんなに言うなら暖めてもらおうかな」
「え」

次の瞬間、私はボスに、ぎゅう、と身体を抱き締められていた。

「え・・・え・・・え!!」

護衛失格である。
不意打ちをくらい、すっぽりと身体を包まれてしまった。

「うん、あったかい」
「えええ!ボスー!!」

じたばたもがくが、やはり男の力にはかなわず、抱き締められるままだ。

もう一度言おう。
護衛失格である。



「ボスー!!」
「もう名前で呼んでよ、リマ」



でも、そんな時間も、悪くないかもしれない。

必然も偶然も、そこにあるからこそ楽しいのだから。

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MOONLIGHT FLIT(PCサイト)のハイチ様より頂きました。
絵チャのお礼にしては大層な素敵小説を…!!
え!?いいの!?頂いても本当にいいの!?

10年後の綱吉の大人の余裕っぷりにトキメキがとまらない…!!
私も口説かれたい!マフラー巻かれたい!チューされたい!むしろ押したおs(自重

ハイッチちゃん、素敵な胸キュンをどうもありがとうございました!


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あきゅろす。
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