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つぼみの花
突然の襲撃
「情けないが、このザマだ」

痛々しいほどに包帯が巻かれた笹川先輩。
私と綱吉は思わず息を呑んだ。

「これ、お見舞いの品です。あまりに急だったから大したものが用意できなかったのですけど…」

私はサイドテーブルに置くと、リボーンくんのために椅子を用意してあげた。
リボーンくんはそれに飛び上がり、笹川先輩の様態を見る。

「具合はどうだ?」
「骨を何本かやられてな。油断したとはいえ、恐ろしく強い相手だった」

彼は犯人を見たらしく、その犯人は隣町の黒曜中の制服を着ていたらしい。
一体笹川先輩がやられてしまうほど強い人が黒曜中にいたこと事態が驚きだ。

私たちがお見舞いに来てすぐに、京子も病室に駆け込んできた。
彼女は兄の元気そうな顔を見ると、安堵し、涙を流す。

綱吉は京子の様子をじっと見つめ、拳を強く握った。
そして私はそんな綱吉を見て、心が痛んだ。

京子が落ち着くと、私たちは"お大事に"と静かに病室を後にする。
病室から出ると何やら周りが騒がしく、あたりを見渡すといつの間にやら廊下は並盛生で埋め尽くされていた。

どうやら他にもたくさんの並盛生がやられたらしい。

「無差別に並中生がやられているの!?」
「みんなかなり動揺してんな」


いや、本当に無差別なのか。
私は思い出せる範囲の被害にあった人物を洗いざらいリストアップしてみる。

風紀委員メンバー。持田先輩。そして笹川先輩。
私たちと朝会ってから行方不明の雲雀先輩。

その共通点というと…

「みんな強い人…」

ポツリと呟くと、リボーンくんはニヤリと笑った。

「よく気づいたな、真尋」

すると後方から騒がしい声と共に、担架が一台また追加で手術室に向かってきた。
そこに乗せられていたのはまぎれもない…

「草壁先輩…!!!」

私は急いで駆け寄り、彼の名前を呼ぶが、彼の口からは短い呼吸がヒューヒューと聞こえるだけだ。
見ると笹川先輩より怪我の具合がひどい。
ふと胸元を見ると金色の懐中時計が一つ置かれていた。

それをリボーンくんが手に取り、中を確認すると"やっぱりな"と何か確信したように呟いた。

「喧嘩を売られているのはツナ、お前だぞ」
「えぇ!?」





笹川先輩は並盛で5位。
草壁先輩は並盛で4位。

それじゃあ、3番目に強い人物とは…??

「獄寺くんだ…!!獄寺くんが危ない!!!」

リボーンのことの真相を聞き、綱吉は病院から飛び出した。
私もそれを追おうと走り出したが、リボーンくんの小さな手によって阻まれる。

「リボーンくん…!!」
「万が一のこともある、おまえはDr.シャマルを呼んで保健室に待機させておけ。俺は俺で調べることがある」

現場に向かえないじれったさを感じながらも私は無言で頷く。
綱吉と反対方向に体を向けて走り出そうとしたが、その前にリボーンくんに聞きたいことがあった。

「…今回の事件、最近見かけないフゥ太くんと関係があると思う?」
「…さぁな」


 * * *


案の定、獄寺くんは大怪我で意識を失ったまま保健室に運び込まれた。
シャマル先生は男は見ねぇっつぅのにとブチブチ言いながらも、なんだかんだしっかり手は応急処置を施している。
なんとか命には別状がないことを知り、私は安堵のため息をもらす。



「なんでハヤトがここに運び込まれているのよ!」

ビアンキさんもお見舞いに訪れた。
その手にはポイズンクッキングが収まっていることだけ、今は見なかったことにする。

やはり腹違いでも姉弟。彼女はなんだかんだとても獄寺くんを大切に思っている。

京子と笹川先輩、獄寺くんとビアンキさん。
お互いよい兄弟、姉妹を持っている。

それを少し羨ましく思いながら私はそっと保健室を抜け出し、屋上へ向かった。

秋の風が少し肌寒く感じた。

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