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変わりゆく世界
最後の一滴まで
最初は もやもやした そんな気持ちが はじまり

その気持ちの正体が 何か分らなくて
もやもやが だんだんと やるせなさに 変わって


なんだか 無性に 泣きたくなった


【最後の一滴まで】



風紀財団とボンゴレとの一時の連絡係になった人は とても とても 綺麗な人
いつもピシっとスーツを着こなして テキパキと資料を説明している

あまりにキョウヤと息が合うものだから なぜかとテツヤに聞いてみたら
彼女はずっと前に 風紀委員に所属していたのだと 彼はこっそり耳打ちをした


"あぁいう風に できる女になりたい"

そう 最初は思っていたのに


「お茶、おかわり」
「どれだけ飲むつもりなんですか、先輩」


彼女は キョウヤの好みのお茶を淹れる

同じ茶葉を使っているはずなのに 私が淹れたものは 彼女が淹れたものとは 程遠い

何度も 何度も 淹れては 彼女の味に近づけようとした
飲んでも 飲んでも 同じ味にはならなかった


ついには茶葉がなくなってしまうまで

私は 馬鹿みたいに お茶を淹れ続ける



「…ちょっと、何を勿体無いことやってるのさ」


手首を掴んで 急須を取り上げるのはキョウヤ

イヤよ イヤ 取り上げないで

私は身をよじって抵抗したけど あの細くても力強い手からは 逃れることはできない
理由を言うまで離さないとばかりに 手首を締め上げてくるから 私は洗いざらい白状するしかなくなった


「あの人みたいなお茶が淹れたかったの、それだけよ」

これは ただの 嫉妬
カッコ悪くて 情けない 私


心の狭い私に 愛想尽きた?
もう こんな面倒な女 嫌いになった?

聞きたいのに 怖くて 聞けない
彼の口から漏れたのは 深い ため息


「前から馬鹿だ、馬鹿だ、とは思っていたけど、これほどまでとはね」


ほら やっぱり 愛想尽かされた
自然と涙が出た
さらに情けなくなったじゃないか

パッと手首が解放されて "離れてしまう" そう思って 彼を見上げようとしたら

瞼に降ってきた 柔らかな唇
零れ落ちた涙を 掬い取る ザラリとした舌


キョトンとした私を 小馬鹿にしたような顔で 彼は こう言った


"お茶より、コッチの方がいい"


私の彼は アイシャドーとファンデーションの混ざった 涙の味がお好みのようです



********************

今回は嫉妬のお話です。以前に『夢主にライバルを!』というご意見を頂いたので少し意識してみました。
ちなみに嫉妬相手は"つぼみの花"の夢主という設定があったりします(;^ω^)(露骨な表現は避けましたが)
お楽しみ頂けましたか?

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