1LDK
同棲している設定の大学生パロです
SSSや会話文の寄せ集めな感じです
@ベッド
駅からそこそこ近くて、2人で寄り添って住むにはちょうどいい1LDK。それが俺と銀時が一緒に住んでいる部屋だ。一緒に住むことになってそのアパートに引っ越してから、俺は銀時が住みやすいようにできる限り要望を叶えてきた。同棲するにあたっての決まりごとなんかも2人で考えた。
だが俺にはどうしても譲れないことがあった。1つのベッドで一緒に寝ることだけは絶対に譲れなかった。だから男2人が寝ても大丈夫なサイズのベッドを先に買って、ひたすら必死に銀時に頼み込んだ。そんな俺の諦めの悪さに、分かったよ、仕方ねーなと遂に折れてくれた銀時のおかげで、俺は自分の願いを押し通すことができた。そんな経緯でこの部屋にベッドは1つしかねーから、寝る時は銀時と一緒だ。
「可愛いよな。あどけない顔しやがって。」
俺の方が早起きだから、いつも銀時の可愛い寝顔をこっそりと楽しむことができる。白い掛け布団からくるくるふわふわな銀色が覗いてて、その銀色が朝陽を浴びて眩しく輝いている。睫毛まで銀色だ。俺の好きな綺麗な色。俺は今こんな風に銀時をすぐ近くに感じられるんだ。それがこんなにも幸せだ。
「銀時…」
俺に腕枕をされたまま、すやすや眠っていた銀時が小さく身じろぐ。俺の右腕に乗っている銀時の頭も同じように動いた。心地良い重みが愛しい存在をはっきりと感じさせてくれる。俺をちゃんと受け入れてくれているからこその幸せの重みだった。
「…ん、ひじかた…」
「おはよう、銀時。」
「……」
「どうした?」
「……腕、痺れねーの?」
俺の顔が近くて、そして俺の腕枕に安心しきって寝ていたことへの恥ずかしさを隠すように銀時はぶっきらぼうに言葉を発した。俺は大丈夫だと笑ってみせると、右手をふわふわな銀色に添え、そのまま優しく引き寄せて銀時の額にキスをした。
@目覚めの1杯
朝起きて飲むといえば、そりゃやっぱいちご牛乳だろ!俺はそう思うんだけど、土方はコーヒーに決まってんだろうがとかぬかしやがって、朝からよくそんな甘ったりぃもん飲めるなと毎朝呆れている。あのな、いちご牛乳はほんとに美味いんですけど。
まぁ、土方が何を言おうが、俺はいちご牛乳にテンション上がるし、あいつは静かにコーヒーを味わう。そんな感じで、ダイニングテーブルに向かいになるように座って、色違いのマグカップに注いだ朝の1杯を飲むんだけどさ。
「あー!朝のいちご牛乳最高!この良さが分かんねーとか、お前もまだまだだね、土方。」
「お前、本当に幸せそうだな。」
「あーそうですよ。幸せだよ。」
「そりゃ良かったな。」
湯気の向こうで土方が嬉しそうに目を細めて笑うのが見える。そんな顔見たら、冷たいいちご牛乳飲んでんのに、こっちまで心がぽかぽかしてくるから本当にどうしようもなくなるんですけど。ああくそっ、これだから男前は。
@愛妻弁当
午前中の講義が終わって昼休みになると、土方さん、今日もまた愛妻弁当持参ですかい、お熱いこったと総悟に冷やかされ、いいなぁ、トシは恋人の手作り弁当か…と近藤さんには本気で羨ましがられる。
そう、俺は毎日銀時に弁当を作ってもらっている。好きな奴が作ってくれる弁当は本当に最高だ。恋人の手作りの弁当は男の永遠のロマンだと俺は割と本気で思ってる。銀時は料理が上手いから、卵焼きなんかふわふわで、味もちょうどいい甘さで文句なしに美味い。それに肉と野菜がちゃんとバランス良く入っていて、俺の健康も考えてくれてるのが分かって堪らなくなる。
繰り返すが、銀時の弁当は最高だ。それは嘘じゃねーし、俺はこれからもこの愛妻弁当を食べ続けるつもりだ。だが、もし1つだけ弁当のことで銀時に言ってもいいのだとしたら。あいつに1つだけ言いたいこと。それは。
巷で流行りのゆるキャラの弁当箱だけはどうか勘弁してくれ。俺ら、もう大学2年生なんだからな。
@図書館
俺と土方は文学部と法学部で専攻が違う。当然時間割もバラバラなんだけど、講義がない時間がいくつか重なっている。だからそーいう暇な時間は大学の図書館で一緒に過ごすことが多い。そして、その少しの時間を俺は密かに気に入っていたりする。
「なぁ、土方。この課題レポート終わりが見えない…」
「難しいのか?」
「だって、大正時代の時代背景を踏まえた上で課題の文豪の作品を読んで論じるんだぜ?俺、国語は得意だけど、歴史は昔から苦手なんだよ…歴史ってのは、てめーで作ってくもんだろ?」
「そういうの、お前らしいな。」
「よく言われるよ。」
俺は小さい頃に通ってた塾の先生に憧れて、現国の教師になりたいと思ってる。先生みてーな先生になりたいんだ。だから結構真面目に講義を受けてる。周りからはちゃらんぽらんに見えるって言われるけど、そんなことないからね。人は見た目が9割かもしんねーけど、そんなことないから。
「あーやっぱもう駄目だ!今日はこれ以上書けない…続きは明日やるわー。」
指定された枚数の半分以上は済んでるし、提出締め切りまでまだ時間はあるから、今日はもういいやと本を閉じてレポート用紙を片付けないまま机に身を投げ出すと、お疲れ様と労いの声が頭上から降ってきて、ぽんぽんと優しく頭に手を置かれた。
「また明日も頑張ればすぐに終わるだろ。お前なら大丈夫だ。」
「うん。」
午後の柔らかな日だまりと土方の優しい眼差し。だから俺は、この2人だけの時間が好きだ。
@帰り道
バス停の列に並ぶ俺を見つけて銀時が嬉しそうに走り寄って来る。大学構内のバス乗り場は4限目が終わって駅に向かう学生達で混雑している。こっちだと俺が手招きすると、銀時は当然のように俺のすぐ隣に身を寄せた。
最寄駅から高台に建つ大学まではバスで通っている。最寄駅から俺達のアパートまでは徒歩10分くらいだ。そしてその徒歩10分圏内にはスーパーがあって、帰りに2人で寄ることが多い。大学でも会うし、そもそも同棲してるから銀時とは毎日一緒に居る訳だが、俺は駅でバスを降りてから2人でスーパーに向かうまでのこのちょっとした時間がお気に入りだ。銀時と他愛のない話をしながら駅前の道をのんびりと歩くのは悪くねーんだ。可愛い銀時が一緒だから本当に癒される。買い物をした後にまた明日な、とさよならするんじゃなくて、そのまま一緒の部屋に帰る。俺らは同棲してるからな。同棲。同棲ってやっぱりいい響きだよな。
「土方ー。知ってる?今日は卵の特売日なんだぜ。確か牛肉も安かったはずだし。そういや牛乳なくなりそうだったから買わなきゃならねーだろ。あ、ヨーグルトもだな。野菜は安くて持ちがいいじゃがいもと玉ねぎ買って、そんであとは…」
「銀時…」
「ん?」
「お前、何だか…」
「な、何だよ。おい、あれか?俺が主婦みてーだってそう言いてーのかよ!」
「いや、若奥さんって感じで、いい。」
「え…?」
「若奥さんなお前、いいよな。」
「ちょ、土方、お前何そんな赤くなってんだようわー気持ち悪ぃ!」
こればっかりは仕方ないと思うのだが。可愛いお前が悪い。今日はあれを買おうこれを買おう、買った物で何作ろうかなと思案してる横顔はそりゃもう破壊力がある。
「銀時、今度、ピンクのフリルのエプロン買いに行くか。」
「…おめー何想像してんだよ!絶対変なこと考えてるだろ!俺そんなの死んでも買わねーからな!」
何を想像したか、だと?それはな、ご飯にする?お風呂にする?それとも俺?な銀時だ!
@家事分担
「銀時ー、俺、風呂入ったから、そのまま風呂掃除するぞ。」
「あーはいはい、よろしく〜。」
俺と土方は一緒に住んでるから、部屋の掃除と買い物は2人でするけど、それ以外の家事は基本的には分担制だ。同棲してる奴らって大体そんな感じじゃね?俺は料理と洗濯担当で、土方は風呂掃除と朝のごみ出しをやる。
「あれ…?えーと…うん、何かさ、」
俺の方がやってること嫁っぽくね?
@鍵とキーホルダー
財布にスマホ、免許証なんかは生活する上でなくしちまったら駄目な大切な物だよな。そういった大事な物は周りにたくさんある。だが、俺にはそれ以上に大切な物があるんだ。そう、それは、この部屋の鍵だ。
『部屋の鍵だし、なくすとマズいからさ、買って来た。』
どこかに行ってしまっては大変だから見つけやすいようにと、一緒に住み出したばかりの頃、銀時が鍵につけるキーホルダーを買って来てくれた。1つは背中を向けて座っている銀色の猫、もう1つは本物そっくりの小さなマヨネーズ型のキーホルダーだった。
『この猫、俺の髪と同じ毛の色だったからさ、何かつい選んじまった。お前のは、まぁ言わなくても分かるよな?』
俺は手渡されたマヨネーズのキーホルダーを銀時に返すと、代わりに銀色の猫を手に取った。そっちじゃねーだろと怪訝そうな表情を見せた銀時に、この猫を鍵につけてたら、離れてる時でもお前と一緒みたいに感じるだろ、と笑ってみせた。そうしたら、何言ってんだかとあいつは照れくさそうだった。
「大分剥げちまったな。」
銀色の猫は表面に所々傷が付いたり擦れちまったりしてる。だけど、俺にとっては鍵と同じで、銀時と繋がってんだって感じさせてくれる、大切な大切な物なんだ。
@仲良し
「だーかーらー!1つのベッドにすんじゃなくて、はじめっから…別々の布団買って寝てりゃ、こんなことには…ならなかったんだよ。」
「俺はな、寝る時でも…いつも銀時と一緒がいいんだよ。」
「だから、それで…2人して…風邪引いたら世話ねーだろうが…あー…喋るだけで頭いてー駄目だ死ぬ…それに、布団被ってんのに寒ぃって、どういうこと…?」
「俺もだ…頭ガンガンする…まだ薬効いてねーのか…」
「土方、お前が…季節外れの風邪なんか引いてきて、そんで、そのまま一緒に寝るから、俺に…うつっちまったじゃねーか…ったく、完全に被害者だからね、俺。風邪引いた時くらいは…1人で大人しく寝てろよ。俺を向こうのソファーで寝かせてくれりゃ…こんなことには…あんなに、ひっつきやがって…」
こいつ、法学部で警視庁のキャリア目指すくらい頭いいくせに本当に馬鹿だよね、馬鹿。馬鹿は風邪引かないんじゃねーの、土方くん?何で季節外れの貰ってくんだよ。
「…ったくよ、俺まで…こんなことになっちまったら、誰が…お前の看病すんだよ。分かってんの?」
「銀、時…」
「顔が近いわ!くっつくな…」
「銀時…大学は休めばいいから、だから…当分こうしてていいか?」
「おい!土方、だから…抱き付くなって!」
「俺もお前も…風邪引いて熱があるんだ。もう、今さらだろ?こんな時だからこそ、お前を感じて安心、したいんだよ。」
「くそっ、何勝手なこと…」
「俺のせいで風邪引かせちまって、つらいのは分かってる。けど、お前の隣は安心するんだ。少しだけ、許してくれ。」
「――っ…土方…」
本当に何もかも全部お前のせいだからな。少しだけならこのままでもいいかも、なんて。そんな風に思っちまったじゃねーか。熱で頭が参っちまったのかもな。ああ、きっとそうだ。
@喧嘩
「土方、お前さ…冷蔵庫にあった俺のプリン、勝手に食った?」
「食ってねーよ。」
「は?じゃあ何でなくなってたんだよ!今日の朝食べようと思って楽しみに冷蔵庫開けたら、俺の愛しのプリンちゃんがどこにも…勝手にお嫁に行く訳ないからね、あの純情な子は!」
「まぁ…食ってねーが、捨てた。」
「はあ?おめー何勝手に捨ててんだ!」
「銀時、ちょっと落ち着け。」
「これが落ち着いてられるかあああ!」
「あのプリン、賞味期限が切れてたんだよ。」
「…賞味期限が、切れてた?だから、捨てた?切れてたって、どうせそんなの1日かそこらだろ?それくらい平気ですー!俺の朝の至福の時間を奪いやがって…」
「たかが1日とか言うけどな、もし腹壊したらどうすんだよ。俺はお前のこと心配して…」
「俺の腹は丈夫なんだよ!それくらいで簡単に壊れてたまるか!つーか、お前が俺の中に出す方がよっぽど腹壊すわ!」
「おまっ、そういうこと大声で言うんじゃねーよ!」
「俺達のこと完全に忘れてやすね、あの2人。ついでにここが昼休みの食堂ってことも。…ったく、痴話喧嘩はよそでやって下せェ。近藤さんもそう思いやせんか?」
「いやー本当にあの2人は仲がいいな!」
「……そうですねィ。」
@仲直り
「昨日は悪かった。」
帰って来るなり、土方は俺に可愛らしい薄いピンク色の紙袋を手渡してきた。中身は見なくても分かる。俺のお気に入りの店のケーキだった。朝起きた時に、今日は寄る所があるから先に帰っててくれと言ったのは、これが理由だった訳だ。
「……」
「……」
俺がケーキが入った袋を受け取っても黙ったままでいるのを、まだ怒っていると勘違いしているのか、土方は叱られた大型犬のようにシュンとしている。ぺたりと力なく垂れた黒い耳と尻尾が見えるようで、俺は我慢できずに吹き出した。
「なんつー顔してんだよ、土方くんよー。もう怒ってないから安心しろって。プリンの件はもう済んだことにしてやるから。」
「銀時!」
ぱあっと明るい顔になると、土方は俺に抱き付いてきた。やっぱりこいつ、見た目通りの黒い大型犬だ。俺に許してもらってそんなに嬉しいのかよ。ああもう、駄目だ。土方のこーいう所がどうしようもなく好きで好きで仕方ない。
@おかえりとただいま
「あ、おかえり、土方。」
「ただいま。」
「もう飯できてるからさ、早く一緒に食おうぜ。な?」
「ああ。」
「今日はお前の好きなもんいっぱい作ったから、残さず食えよ?」
「分かってる。楽しみだな。」
この幸せは、これからもずっと続いていく。
END
あとがき
土銀で大学生同棲パロは本当に美味しいです!!
同棲している2人の日常の1コマを切り取ってみた感じですので非常に短くて申し訳ないですが、妄想するのは楽しかったです^^
お話の中には書きませんでしたが、土方くんの実家は地元でも割と大きいお家なので、家賃は土方くんの方が多く出しているという設定があったりします。ですが、広いマンションではなく、2人の距離を近くに感じたいからと小さなアパートを選んでいます。
銀ちゃんは国語担当の家庭教師のアルバイト(生徒は新八かな)を、警察官を目指す土方くんは勉強を優先しつつ、短期で色々働いているのもいいなぁと思います。個人的には土方くんには警備会社とかでバイトして欲しいですv制服萌えますv
大学生同棲パロはネタが集まったら、またこんな感じで書いてみたいなぁと思いました^^読んで下さいましてありがとうございました♪
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