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君をつくる愛しいすべて
骸が常時手袋をしているのには理由があるという設定での妄想です

キャラ崩壊やら捏造が激しいのでご注意下さいませ




骸君と付き合い始めたばかりの僕には、最近ちょっと気になっていることがある。それはズバリ骸君の革手袋だ。僕の記憶が正しければ、というか正しいんだけど、今まで骸君が革手袋を外した所を見たことがないんだよね。僕が居ない所では外してるのかもしれないけど、僕達は一緒に住んでる訳じゃないから真相は分からない。だからかな、ちょっとした好奇心というか、最近気になってるんだよね。骸君が手袋を外した所が見てみたいんだ。きっとすっごく綺麗な手をしてるんだろうなぁ。


考えてみたらさ、骸君ってどうしていつもあの手袋してるのかな?もし訊いてみて、他人に直に触れないようにする為ですよ、気持ち悪いので、勿論あなたも含みますが、なんてにっこり笑顔で言われたりしたらどうしよう。僕、確実に死ぬ…。でも絶対にそれはないかな。だって僕と骸君は恋人として付き合ってる訳だし、やることは全部やっちゃってる訳だからさ。だけど、2人の愛を確かめ合ってる時でもやっぱり骸君は手袋を外さないんだよ。ん〜、さすがに汗かくと思うんだけどな。蒸れないのかな?とか気になったりもするんだけど、結局いつも骸君に夢中になって忘れちゃうんだけどね。あ、もしかしたらあれかな?よく女の子がしたりするやつだよ。それを骸君もやってるとか?骸君の手袋って美容クリームを塗った時にする保湿手袋だったりする…訳ないよね、うん、ナシで。今のは考えてさすがにちょっと恥ずかしくなっちゃった。じゃあ、冷え性でいつも手が冷たかったりするから?何かそんな骸君は嫌だなぁ。僕の中の骸君のイメージが崩壊しちゃう。あ〜もう僕の頭じゃ、それくらいしか思い付かないよ。


骸君、君はどうしていつも手袋越しにしか僕に触れてくれないの?



*****
気になりだしたら、もう気になって気になって仕方なくて。恋人のことを何でも知りたいと思うのは当然だよね?僕は骸君の全部を知りたいんだよ。だから最近の僕の頭の中は、革手袋に隠されている骸君の細くて長い指のことばかりで占められちゃっていたんだ。


お天気のいい昼下がり、絶賛仕事中の僕の所に様子を見に来ましたよ、と骸君が遊びに来てくれた。骸君が執務室に来てくれるだけでさ、書類やパソコンに囲まれた無機質な空間が一気にオアシスになるんだよ。僕は幸せを感じながら骸君を出迎えた。せっかく骸君が会いに来てくれたから、僕は今やってる書類仕事を一旦やめようとした。だけど骸君は、仕事の途中で寄っただけですから、少ししたら帰るのでそのままで良いですよ、と気を遣わないように言ってくれた。骸君はそのまま僕のすぐ近くに来ると、執務机に手をついて乗り上げるように腰掛けた。


「こらこら、骸君。お行儀悪いよ、机に座ったりしたら。」

「良いではないですか。ここに座っている方が真剣なあなたの顔が良く見えます。」


それに僕とあなたと2人きりなのですから、好きにして良いでしょう?蠱惑的な微笑みに頷いて、僕は椅子に座ったまま、骸君の腰を引き寄せた。骸君の長い脚が僕のすぐ目の前にあり、その曲線美に堪らなくなる。だけど今の僕は、やっぱり骸君の手に視線が集中してしまっていた。これ見よがしに視線を向けるのはマズいのに。


「白蘭?…何です?」

「え?あ、ううん。何でもないよ!」

「…そうですか。」


慌てて誤魔化した。僕、骸君の手をじっと見ちゃってたみたい。わー、さすがに変に思われたかな。うぅ、ちょっと落ち着くんだ、僕。そのまま骸君の視線を感じながら仕事を再開してみたけど、目に入る手袋が気になって。もういっそのこと尋ねちゃおうかなと思えてきた。


「あ、あのさ…骸君。その…」

「はい。」

「…え〜と、…うん、今度の週末とかさ、良かったらまた僕の部屋に遊びに来てよ。」

「ええ、勿論。」


骸君は綺麗に微笑むと、それでは僕はこれで、と僕との約束に嬉しそうな足取りで帰って行った。骸君が嬉しそうにしていたから僕もすごく嬉しかったんだけど、結局何て言っていいか分からなくて聞きそびれちゃったよ。まぁ、また今度でもいいかな。時間はあるんだしね。



*****
正チャンから巻き上げた…違った違った、貸してもらった最新の小型ゲーム機で遊んでいる僕の正面で、骸君は文庫本を読んでいる。いつもベタベタするんじゃなくて、こんな風に僕の部屋で2人でのんびりと過ごすのも悪くないなぁと思うんだ。ソファーに座ってお互いバラバラなことをやってる訳だけど、骸君がすぐ近くに居てくれるから安心感というか、小さな幸せみたいなものを感じられる。


「骸く〜ん。…僕、喉渇いたから紅茶でも作ろうかなぁって思うんだけど、骸君もどう?」

「そうですね。頂きます。」

「おっけー。じゃあ2人分作るね♪」


僕は寝そべっていたソファーから体を起こすと部屋の中に備え付けられているダイニングキッチンに向かった。


「ふふ、美味しい紅茶だよー♪」


僕も骸君も揃って甘党だから、砂糖をたっぷり入れた紅茶を用意してリビングに戻って来ると、骸君はまだ本に視線を落としたままだった。


「骸君の分、テーブルに置いとくね。」

「ありがとうございます。」

「どういたしまして。」


骸君は嬉しそうな声を出したけど、顔は下を向いたままで。一旦本を読み出すと集中しちゃうからね、骸君は。そんな君が可愛くて好きなんだけど。僕はソファーに座り直すと、お先に紅茶を飲むことにした。紅茶は結構熱かったから、ふーっと冷ましながら少しずつ飲んでいると、骸君も紅茶が飲みたかったのか、本から視線を外さずにそのままカップに手を伸ばした。よそ見したら駄目だよ。僕がそう言おうとするのと、骸君の手が当たったカップが音を立てて傾くのがほぼ同じだった。


「…熱っ、」

「骸君!」


骸君の黒い革手袋の上に熱い紅茶が思い切りかかった。防寒用の物とは違って薄くて肌に馴染む手袋なんかじゃ火傷してしまう。僕は骸君に早く手袋を外すように言った。そして水で濡らしたタオルを持って来て骸君に急いで手渡したんだけど、骸君は黙ったままだった。


「骸君、何やってんの?そのままにしてたら、火傷が悪化しちゃうよ!手袋も紅茶で汚れちゃったじゃない。早くそれを…」

「…嫌です。」


骸君はそう言って頑なに手袋をしたままだった。


「これくらい大したことではありませんから。…気にしなくて大丈夫です。」

「骸君……やっぱり何か理由があるんだね?その手袋をしてなきゃいけない理由が。」

「それ、は…」


骸君が僕から視線を外して口ごもる。骸君の態度を見てたらそうだとしか思えなかった。骸君は瞳に不安の色を浮かべて僕を見つめると、観念したみたいに小さく息を吐いた。


「…僕のことを嫌いにならないと、約束して頂けますか。」


震える声に僕の胸が締め付けられる。何で突然そんなこと言うんだろう?骸君のことを嫌いになるなんて、そんなこと絶対にあり得ないよ。嫌いになんてなれる訳ないのに。


「大丈夫だよ、骸君。僕は骸君のことが大好きだよ。…それはこれからも絶対だから。信じて。」

「白蘭。」


真っすぐに骸君を見つめ返す。僕の言葉に真剣な想いを感じ取ってくれたんだろう。骸君は頷くと、小さく深呼吸した後に僕に見えるようにゆっくりとした動作で手袋を外した。


「これを見て、もしあなたが僕のことを嫌いになってしまったらと思ったら…とても怖くて。あなたが好きだからこそ、一緒に居ても外せなくて。今までずっと隠していました。」


骸君の両手の甲に縦に長い真っすぐな傷痕が数本走っていた。中には指の途中までの物もあって。今までずっと骸君が革手袋をしている理由を知りたいとは思っていた。だけどそれは僕には思いもよらないものだった。きっと骸君は同情なんてされたくないだろうことは分かってる。それでも僕は目の前の白くて繊細な手を包み込むように握り締めていた。


「子供の頃に受けた実験や、水牢に入る前にも色々とされましてね。…体にあった傷は時間と共に治っていったのですが、何故か両手の傷痕だけはそのままで。…本当はあなたにだけは見られたくなかったんです。こんな傷を見てしまったら誰でも…」

「骸君、この傷は…君が僕と出会ってくれる為に必死で生き抜いて来てくれたからできた痕なんだよね。…そういったものを全部含めて、骸君な訳で。だからね、僕は骸君の何もかも全部ひっくるめて愛しくて堪らないんだ。」


安心していいんだよ。ずっとずっと君を好きでいるんだから。僕は骸君にありったけの想いを込めて笑い掛けた後、火傷したんだから診てあげる、とそのまま手の甲の傷痕に口付けて舌を這わせた。骸君は恥ずかしそうに唇を震わせて僕を見ていたけど、僕がこの傷痕を受け入れたことが本当に嬉しくて仕方ないみたいだった。僕の能力で得た知識で、骸君の傷痕を治すことは可能なのかもしれないとは思う。だけど骸君はそんなこと望んでいないような気がするんだよね。骸君の顔を見てたら、もう吹っ切れたみたいだし、この傷痕とこれからも生きていくって思ってるように感じるんだ。第一僕は骸君の手の傷なんて全然気にしてないし。むしろ逆に理由が分かってスッキリしたくらいだもん。


「骸君。この傷痕、僕に見せてくれて本当にありがとう。今まで苦しかったと思うけど、これからは楽にしていいから。」

「は、い。僕の方こそ…嬉しくて、ありがとう、ございます。」


僕は最後に再び骸君の両手の甲に1つキスを落として、それからゆっくりと細い体を抱き寄せた。手袋の布越しなんかじゃない、骸君の本当の手の温もりに僕の心は満たされていた。骸君のことが、彼の何もかも全てが、ただ涙が出るくらいに愛しくて。ずっと僕が守って大切にしていくんだ。腕の中の確かな存在に僕は強く強く誓った。



*****
骸君は恥ずかしがり屋さんなのかな?骸君と付き合ってまだ日が浅いから、まだまだ知らないことも多い訳だけど。あれ?でも骸君、夜は結構大胆だよね。普段はストイックな感じだから、そのギャップが本当に可愛いっていうか…って、話が逸れちゃった。そうそう、骸君は恥ずかしがり屋さんじゃないかと思うんだ。お互い傷痕のことは理解した訳だから大丈夫なはずなのに、相変わらずきっちり黒の手袋してるんだよね。人前でしているのは勿論分かるけど、2人きりの時はもう遠慮はいらないのにね。もしかしてやっぱりまだ不安なのかな?僕はそのことを骸君に言ってみた。骸君はあの日を境に本当によく僕の部屋に来てくれるようになっていて、今日も仕事中の僕に会いに来てくれていたから。


「いえ、もう不安はありません。…ただ、この手袋をしていないと何だか手がスースーするというか、落ち着かないというか…それだけです。すみません。」

「なんだ〜、そんなことだったの。でも残念だなぁ。僕、付き合って1ヶ月記念の指輪を骸君の指にして欲しかったんだけどな。勿論その革の手袋の上からじゃなくて。」

「白蘭、それは…」


骸君がどうしようという顔で僕を見る。困った顔の骸君も捨てがたいけど、本気で困らせたい訳じゃないし。それに指輪はこれから買う予定だから、本当はまだいいんだよね。サイズは勿論分かってるから問題ない。キスした時にこっそり確認したから大丈夫なんだ。


「骸君、別に焦らなくていいよ。…考えてみたらこれから日焼けが心配な季節になるでしょ?手袋してた方が焼けないし、その方が白くて綺麗で僕の大好きな骸君の手に指輪が映えて、きっとすっごく素敵だよ。だから当分そのままでもいいんじゃない?」


骸君の喜ぶ顔を思い浮かべていたら、敵いませんね、とどこか嬉しそうな声がして、骸君が机越しにキスをくれた。僕の顎を掴むその手は黒くなくて。


「指輪、楽しみにしています。…それからやはり2人きりの時は手袋はしません。僕も直接あなたの肌に触れたいと思いますから。」

「うん、僕も…同じだよ。」


骸君の手の感触に目を細めながら、僕は頬に触れてきたその手に自分の手を添えて、愛おしむようにそっと撫でた。






END






あとがき
酷く残念な妄想にお付き合い下さって申し訳ないです(><;)骸の手は細くて白くて綺麗だよねって感じですよね。全体的に頭の弱い白蘭で、これも酷い感じですが、推理力のない白蘭も可愛いかなと(´`)そして、「手袋」ではなく格好良く「グローブ」にすれば良かったかなぁとも思いましたが、そのままにしました;


頭の先からつま先まで何もかも全部大好き!とお互いに思っていれば、それだけで良いと思いますo(^▽^)o


読んで下さいまして本当にありがとうございました!

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