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Lovely Bunny
骸が少しだけ♀になっております(20000HITリクエスト)

何とも中途半端な感じです(><;)




白蘭の部屋のソファーに座って読書に耽っていた骸の耳に、背後から静かに近付いて来る足音が聴こえた。その足音は当然この部屋の主の物で。骸は読みかけの文庫本を閉じると、何ですか、白蘭と後ろを振り返った。


「え〜い、隙ありっ!」

「なっ…!?」


白蘭はソファーに座り込んだままであった骸の顎を掴むと、無理矢理口を開かせた。そしてすかさず手に持っていた小瓶を骸の唇に寄せる。ベビーピンク色の液体が静かに骸の喉の奥に流し込まれた。突然のことに訳が分からず、骸は瞬きもできずに白蘭のされるがままに喉を動かしていた。口内に甘ったるいシロップのような味が広がり、骸は不快感を示すように白蘭を睨んだ。だが睨まれた当人は、何か面白いことを考えついたような楽しそうな顔で笑っていた。


「僕に、一体何を飲ませたのですか!」

「骸クンが骸ちゃんになっちゃう♪な、魔法の薬だよ。こんなすごい物手に入れちゃったらさ、やっぱり試さない訳にはいかないでしょ?」


目の前でふわふわ笑う白い男は、恋人を困らせる天才のようだ。本当に何てことをしでかしてくれたのだ。骸は白蘭を叱責しようと口を開きかけたが、急に全身が熱を持ったかのように火照り出し、心臓の辺りが苦しくなった。耐えるようにシャツの胸元を握り締めたが、体に感じた異変はたった一瞬のことで、すぐに全身を襲う熱さも苦しさも治まってしまった。


「…白蘭、今すぐ僕を元に…」


少し高めの可愛らしい声が耳に届き、骸は驚きに目を見開いた。今のはまさか、自分の声なのだろうか?戸惑う骸の視界に自身の両手が映り込む。全体的に丸みを帯びてふっくらとした手は、どこをどう見ても女性であって。骸は弾かれたようにコートの中を確認して、形の良い唇をわなわなと震わせた。


「良かった〜。ちゃんと女の子になって♪あっ、でもね、薬の効き目は1時間あるかないからしいから、心配しなくても大丈夫だよ。僕はちょっと残念だけど。」

「あと1時間もこのままなのですか…耐えるしかありませんね。」

「それにしても骸君って、女の子になると綺麗に可愛さがプラスされるんだね〜。目とかもいつもよりずっと大きいし。」


白蘭は目を輝かせて骸の隣に座ると、そのまま骸の全身を観察するように眺め始めた。はっきり言っていつも以上に恥ずかしくて堪らず、無意識に膝を閉じてしまう。白蘭は相変わらず嬉しそうに骸を見ていたが、ソファーから立ち上がるように骸を促した。何がしたいのだと思いつつ、骸は大人しく白蘭の前に立つ。白蘭は骸の頭から爪先まで上下に視線を動かしていたが、胸の辺りで視線を止めると、うんうんと頷いた。


「骸君は女の子になってもスレンダーな美人さんのままなんだね。」

「悪かったですね、小さくて。僕だってどうせ女性になったのなら、もう少しくらいあるかと思いましたよ。…幻術で女性になる時は色々と都合が良いので大きく見せますけれど、自分の体は正直なんですね。」

「大丈夫だよ、骸君!大きさが全てじゃないんだから!僕はどちらかといえば、形とか触り心地の方が…」

「気持ち悪いです。」

「酷い!…まぁうん、いいけどね。男には色々とロマンがあるんだよ。という訳で、触らせて♪」


笑顔の白蘭に腕を引っ張られ、骸はソファーの上に倒れ込みそうになった。だがすんでのところで体勢を立て直すと、白蘭の腕を解いてソファーの端に座り込んだ。白蘭の部屋のソファーは高級家具メーカー製の物なので座り心地の良さは勿論だが、2人で座るには些か大きく、端に座ってしまえば十分に距離を取ることができる。骸は白蘭から離れて座ると、体が見えてしまわないようにコートの前を掻き合わせて背中を丸めた。


「骸君のケチ。」

「何を言われようが絶対に嫌です。」


背を向けて座っていたので白蘭の表情は見えなかったが、残念そうな声が広い部屋の中に小さく響く。確実に唇を尖らせているのだろう。しょんぼりとしている白蘭が可哀想だと思わない訳ではないが、嫌な物は嫌なのだ。恥ずかしい気持ちの方が圧倒的に大きいのだが、女性の体になった方が白蘭がどことなく嬉しそうに見えてしまって、それも何となく嫌だったからだ。


「骸君は絶対美乳だよ。断言してもいい!綺麗な形で、僕の手に馴染んで、それから…」

「変態っぽくて、ちょっと引きました。」


まだ当分の間、元の自分には戻れそうにもない。骸は隣で拳を作って我を忘れて力説している白蘭をチラリと見ると、疲れたような溜め息を零した。


*****
白蘭はなかなか諦めてはくれず、あれからしつこく何度も迫って来た。骸は部屋の中をあちこち逃げ回っていたのだが、段々と息が上がっていた。女性の体というのは実に不便だと思わずにはいられない。これくらい動いただけで疲れてしまうとは。骸は言うことの聞かない今の体を心の中でなじった。いつもの自分ならば、白蘭を振り切ることはそれほど難しくはない。殴ったり蹴りを入れれば、大抵大人しくなってくれる。それはそういう気分ではない時に白蘭が自分を求めた場合の対処であって、骸とていつもそのようなことをする訳ではない。だが今はまさに非常事態だった。目の前には笑顔のまま静かに近付いてくる白蘭が居て、骸のすぐ後ろは逃げ場のない白い壁だった。何かしらの抵抗をすれば良いとは思う。だが今の自分の力では、果たして隙を作ることができるかどうか分からない。


「骸君。とりあえず落ち着こうよ、ね?…そうだ、やっぱりそのままじゃ気持ち悪いだろうし、今すぐ可愛い下着でも用意してあげよっか?それがいいよね♪」

「大いに結構です。もうすぐ元の体に戻るのですから。…本当にあなたは、笑顔で恐ろしいことを言いますね。」


骸は白蘭に言い返しながら、壁に沿って少しずつ移動しようとした。だが突然骸の耳元で、そろそろ覚悟してよねと甘い声が響き、気が付けばすぐ目の前に白蘭が立っていた。白蘭は骸の抵抗を難なく受け止めると、そのまま柔らかい体に腕を回した。精一杯の抵抗を封じられ、結局骸は白蘭に背中から抱き込まれる形で、再びソファーに座らされてしまった。


「ふふ、骸君のほっぺと太もも、すっごくフニフニしてて、まるでマシマロみたいだよ♪」

「あ…ぅ、白…蘭。」


白蘭の手が滑らかな動きで黒いスキニーパンツの上から骸の太ももを優しく撫で上げる。体の奥に確かな快感を感じ、骸は白蘭の愛撫に耐えるようにギュッと目を瞑った。だが白蘭は何を思ったのか、そのまま手を止めて、骸君と小さく名前を呼んだ。


「…な、何ですか?」

「僕さ、別に骸君が女の子だったら良かったとか思ったことないし、男の子だから付き合ったって訳でもなくて…『君』だから好きになったんだ。君、だからだよ。」

「白蘭…」


思いがけず真剣な声が胸に響いて、骸は抱き締められたままおずおずと白蘭を見つめた。


「まぁ…色々な骸君が見てみたかったってのはあって…骸君には骸ちゃんになってもらった訳なんだけど。その…悪気はなくて。あ〜でもさ、やっぱりこのままじゃ勿体ないから…胸触らせてよ、骸クン♪」

「なっ…あなた、言ってることとやろうとしていることが全く違うではないですか!」


少しだけときめいてしまった自分が馬鹿だった。押し倒された骸は抗議の声を上げて白蘭の胸を叩いたが、悲しいことに女性である今の状態では自分の思い通りの力は出ず、白蘭に全然痛くないよ、可愛いなぁと笑われてしまった。白蘭が柔らかな膨らみに手を伸ばす光景が恥ずかしくて、骸は視線を逸らそうとした。コートの中に手が差し入れられ、白蘭が骸の胸に触れようとしたその瞬間、まるで魔法が解けたかのように骸の体は元の姿に戻っていた。白蘭の手は丸みを帯びた膨らみではなく、平たい胸にぺたりと触れた。


「え?えぇっ…?何でこのタイミング!?」

「…良かった。助かりました。」


骸はホッと胸を撫で下ろすと、自分に覆い被さっている白蘭を見上げた。白蘭は、このままリベンジするからねっ、と骸から全く離れようとしなかった。いつまで自分の上に居るのかと悪態を吐こうとして、骸は口を開くことなく押し黙った。


『君、だからだよ。』


もし女性として生まれていたのだとしても、普段通りの男性のままであったとしても。白蘭は「自分」のことを見付けて好きになってくれる。「六道骸」を愛してくれる。骸は白蘭の腕の中で大人しくなると、すぐ真横にある耳元に唇を寄せた。


「続きは、しないのですか?先ほどあなたが触れたせいで、体が疼いて仕方がないのですが…僕、女性の体の時でも感度は高かったみたいで。」

「む、むくろくんっ!?」


いつもの艶っぽい声は見事に裏返り、白蘭は真っ赤な顔で口をパクパクさせていた。そんな姿が可愛くて、骸は白蘭の首元に腕を回すと自分から体を押し付け、白蘭との口付けに心を震わせたのだった。






END






あとがき
茜様から頂きました「白骸♀のお話」のリクエストを元に好きなように書かせて頂きましたが、♀化って難しいです…ね。私にはあれが精一杯でした。結局最後は普通の白骸になってしまって、本当に申し訳ないです(T△T)私の文章力では、女の子な骸は上手く書けないみたいです(><;)


骸♀は、個人的にはそんなに大きな胸ではないような気がしたので、←白蘭♀の方がたわわな感じですよね あのような仕様にさせて頂きました。白蘭は小さかろうが、骸の胸なら何でも良いのではないかと思います^^


ほんの少しでも気に入って下さる所があれば幸いです。この度はリクエストして頂きましてありがとうございましたm(u_u)m

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