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2人を繋ぐ青
代理戦争無視です
白蘭が普通に骸と居ます



「ねぇ、骸クン♪」


並盛と黒曜の街の中間にある小さな公園の中のベンチに骸は白蘭と2人で座っていた。すぐ隣に座っていた白蘭がそっと骸の顔に手を伸ばす。今日は久しぶりに2人きりで会っていたので、もしかしてこのままキスされるのでは…骸はそう考えて少しだけ身構えた。だが白蘭の手は骸の頬ではなく、青い髪の中に隠れている耳朶に、正確には骸の耳元で揺れるイヤリングに触れた。


「これが骸君のボンゴレギア?…もうリングじゃないんだね。」

「えぇ、そうですね。」


白蘭の手の中で、細長いクリスタルを連ねたようなイヤリングが小さな音を奏でる。いつまでも手を離そうとしない白蘭に、骸はどうしたのだろうと横目で白蘭を見た。


「何かさ、骸君がこのイヤリングつけてると、まるで君がボンゴレのモノですって感じで、すごくイライラするなぁ。」

「これは、僕の目的の為にあくまで手段として利用させて頂いているだけですよ。…それくらいで拗ねないで下さい。」

「だって〜骸君は僕のモノじゃん。」

白蘭は口を尖らせると、伸ばしていた両足をベンチに乗せ、体育座りのような格好をした。そしてそのまま膝に顔を乗せて、そうでしょ?と骸を見上げる。


「それは語弊がありますね。僕はあなたの所有物ではありませんよ。…僕はあなたが好きで大切ですが、いつも対等で居たいんです。そこは理解して頂きたいです。」


骸は真っすぐな瞳で白蘭を見返す。白蘭は瞬きを1つすると、そうだねと小さく頷いた。


「ごめんね、骸君。骸君はモノじゃない。大切な大切な僕の恋人だよ。」


白蘭が目を細めて骸の髪を撫でる。骸は目を伏せて白蘭のしたいようにさせていた。自分も白蘭もそれぞれ別々の場所で、慕ってくれる仲間と共に行動している。だから僅かな時間しか2人で会うことはできない。はっきり言って遠距離恋愛をしているようなものだろう。だが骸は、もう白蘭から離れることなどできそうになかった。自分に向けられる眩しいほどの笑顔と溢れんばかりの愛情に、いつの間にか白蘭のことを受け入れていた。白蘭の方も今も変わらず骸を好きでいてくれる。自分には今も、そしてこれからもずっと白蘭が必要だ。骸は、優しく髪に触れる白蘭の手の温もりにとろけるような幸せを感じていた。





白蘭は別れ際に再び骸の髪に触れると、手に取った髪をそっと骸の左耳に掛けた。爽やかな風が露わになった左耳を撫でるように流れて行く。白蘭はまだ霧のイヤリングのことを気にしているようだった。だが彼の子供みたいな嫉妬が本当はとても嬉しくて。骸は嬉しさでみっともなく頬が緩んでしまわないように顔に力を込めた。


「骸君、今度会う時にさ、君に渡したい物があるんだ。」

「渡したい物、ですか…」

「うん♪だから楽しみにしててね。」

「はい、分かりました。」


白蘭は別れのキスとばかりに骸の頬に口付けた。可愛らしいリップ音が耳に届き、骸は白蘭と別れた後も顔が熱くて仕方なかった。



*****
白蘭は骸に会いに来る為日本を訪れる時はいつも、並盛と黒曜の間にある小さな公園を指定する。骸と2人で過ごす時は誰にも邪魔されない静かな場所が良いのだそうだ。今日は白蘭から連絡を貰い、久しぶりに彼と会う日だった。前回会った日から随分と時間が経っていたので、いつもの公園に辿り着いて眩しい白が目に入った時、骸は胸の高鳴りを抑えることができなかった。


「久しぶりだね、僕の愛しの骸君!今日もすごく美人さんで…僕、嬉しいよ〜。」

「お久しぶりですね、白蘭。元気でしたか?」

「うん、元気だったよ♪あっ、ねぇねぇ、これ見て。」


白蘭は楽しそうな声で自分の右耳を指差した。そこには太陽の光を受けて輝く青いピアスがあった。白蘭がピアスをしている姿を見るのは初めてで、骸は白蘭の右耳をじっと見つめた。


「これね、ブルーサファイアのピアスなんだ。骸君の瞳と髪のイメージ。…で、はいこれ。」

「白蘭…?」


白蘭はファー付きの白いベストとセットになっているパンツのポケットから、同じ色の小さな箱を取り出した。そして怪訝そうにしている骸の手にその箱を握らせた。


「骸君、開けてみて。」

「では…」


外側が手触りの良い白いベルベット生地の箱を開けると、中には青いピアスが1つだけ入っていた。骸はその片方だけのピアスに見覚えがあった。というより、もう片方は今まさに目の前にあった。


「白蘭、このピアス…もしかしなくても…」

「うん。お揃いで片方ずつつけたいなぁって思って、先に開けちゃった。僕が右耳で、骸君は左耳につけるんだよ。2人で一緒って素敵じゃない?」

「白蘭、やはりイヤリングのことを気にしていたのですね。」

「う…だって、骸君に他意はないって分かってるけど、あんなこれ見よがしな感じで耳元で揺れてちゃ、対抗したいって思っても仕方ないじゃん。…骸君の綺麗な耳にピアスホールが開くのは、ちょっと勿体ないかもだけど…」

「白蘭。僕、まだピアスは開けていないので、もう少し待って頂くとして。今はこれで我慢して下さい。」


骸は白蘭に見えるように両耳のイヤリングを外して制服のポケットにしまい込んだ。白蘭はその様子をじっと見ていたが、段々その顔には嬉しさが広がっていた。


「別に耳につけなくて持っていても、ちゃんと役立ちますしね。」

「骸君っ!」


腕を広げて自分を抱き締めてくる白蘭に骸は小さく微笑んだ。顔を上げると、骸の目に自分の瞳と、そして髪と同じ色の小さな石が見えた。それが白蘭の耳でキラキラと輝いて、骸は胸が甘く締め付けられるように幸せだった。



*****
骸は、自分の左耳を飽きもせずに優しく触り続ける白蘭に我慢の限界だった。怒っているという訳ではなく、もうくすぐったくて仕方なかったのだ。あれから骸は白蘭と会わない間に左耳にピアスホールを開け、白蘭とお揃いのピアスをつけた。ボンゴレの霧のイヤリングは何かあった時にすぐ使えるようにと、制服に忍ばせている。


「それにしても、他人が見たら僕達のしていることは恥ずかしく映るのでしょうね。」

「え〜、僕達が幸せならそれでいいじゃない。骸君は僕とお揃いって嫌なの?」

「別に…嫌という訳では…その、会えない時でもあなたと繋がっているようで、悪い気分ではありませんよ。」

「僕も、僕もだよ!骸君と繋がってるって思えるもん。」


白蘭が幸せで堪らないという表情で骸を見ると、骸のピアスを一撫でした。骸がくすぐったさに目を閉じると、白蘭はそのまま骸の唇を啄んだ。少しして白蘭の唇が離れたが、骸は逃がさないというように白蘭の首に腕を回すと、少しだけ驚いた顔の白蘭に綺麗に微笑んで白蘭の右耳のピアスに口付けた。いつもいつもあなたと繋がっていたい。そんな想いを込めて。






END






あとがき
骸が結構目立つイヤリングをするようになったのに、そういえば妄想してなかった(0w0)と思いまして、しょうもない駄文を書いてみました。


色々おかしな所が一杯ですが、目を瞑って頂ければ…と思います(^^;)ただ10代の2人をらぶらぶさせたかっただけです!


読んで下さいましてありがとうございました♪

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あきゅろす。
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