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君との戦いも夢中になっちゃうね♪
原作寄りの現代の2人です
色々無理矢理設定です
2日目の戦いの後の残念な妄想です
1日目の骸の頬の怪我を無理矢理ねじ込んでいます




少し調べたいことがありますから先に帰っておくようにと仲間達に告げると、骸はそのまま彼らを見送り、少し離れた所に建っている豪華な屋敷に視線を向けた。先ほどまでの戦闘などまるでなかったかのように、夜はすっかりいつもの静けさを取り戻していた。骸はゆっくりとした足取りで歩道まで歩いて行くと、歩道に沿って作られている柵に体を預けた。戦い終わった後の独特の感覚を抱えたまましばらくの間そこでじっとしていたが、暗闇の向こうから自分の方に駆け寄って来る白い髪が目に入り、思わず口元に笑みが浮かんだ。多分来てくれるのではないかと思った。白蘭も自分と同じように何か適当に理由を付けて出て来たに違いないだろう。骸は溢れる嬉しさを隠すように白蘭を見つめた。


「骸クン♪良かった〜。骸君なら絶対そのまま残っててくれてると思ったんだよね。抜け出して来て本当に良かったよ♪」

「…僕も、あなたなら来てくれるのではないかと思ったので。まぁ、あなたの場合は僕が帰ろうとしたら問答無用で引き止めそうですしね。…それにしても何と言って出て来たのですか?」


骸の問いに、マシマロ足りないから買って来るって言ったんだけど、緊張感ないって皆に怒られちゃったよ、と白蘭が困ったように笑った。そして骸の隣に移動すると同じように柵に体を預けた。ちょうど自分達の真上には街灯があり、話をするには十分明るく、お互いの顔が随分はっきりと見えた。すぐ隣に居る白蘭が何故かキュッと眉根を寄せ、今にも泣きそうな顔をしていることに気付いて、骸は酷く困惑してしまった。代理戦争が始まった今、お互い忙しくなってしまったので、ファミリーレストランでの逢瀬も一旦中断してしまっている。白蘭からの強引な誘いで始まったものであったが、彼への想いを自覚してからはあの場所で会えなくなってしまったことは仕方がないことだとはいえ、骸にとって密かに残念なことだった。自分がそうであるのだから、白蘭はきっと自分以上に悲しく思っているに違いない。もしかしたらそのことだろうか。それとも気付かない内に白蘭に何かしてしまったのだろうか。色々な考えが骸の頭の中を駆け巡った。白蘭が自分のことを好きだと言ってくれることは今では純粋に嬉しいが、戦闘になれば戦うことになることはお互いに割り切っているはずだ。だから今さら戦いたくないなどと彼が言い出すこともないと骸は考えている。だから何故白蘭がそのような顔をしているのか良く分からなかった。


「あの…白蘭…?」

「骸君、今日は本当に色々ごめん!謝っても謝り足りないって分かってるけど、僕…」


いきなり目の前で謝り始めた白蘭にますます困惑してしまう。とりあえず顔を上げるように言うと、怒ってないかと尋ねられた。こうして会えたことにふわりとした嬉しさを感じこそすれ、白蘭に怒りを感じるような理由もなかったので素直に頷くと、白蘭はホッと落ち着いた表情になった。


「…骸君に謝りたいことがいくつかあって…今日戦って分かっちゃった訳だけど、ボンゴレの綱吉君と同盟を結ぶことになってさ。それで骸君には絶対誤解して欲しくないんだけど、僕が好きなのは骸君だけだから!綱吉君とは協力してるけど、僕の1番は骸君だからね。」

「そのようなこと…僕は別に気にしていませんから。」


白蘭の真っすぐな言葉に顔が赤くなってしまった気がして、慌てて何でもないように取り繕った。だが自分の言葉に嘘はなかった。自分はもうユニにも、そして白蘭と共に戦う沢田綱吉にも嫉妬はしないのだと決めている。白蘭と接することで、彼が真剣な想いを向けてくれることが分かったからだ。その一方で白蘭に自分の想いを告げることは気恥ずかしさが勝ってしまって、まだ当分できそうにはない。けれども彼にはもう既に気付かれてしまっているような気もする。誤魔化したとはいっても、赤くなってしまっただろう顔を見られたのだから。


「本当?…それは嬉しいけど、ちょっとくらい妬いてくれてもいいんだよ〜。」

「誰が嫉妬しますか。そんなことで僕は動じませんよ。」


またまたぁ、骸君は本当に素直じゃないなぁ、でもそこがすごく可愛いんだけどね、と嬉しそうな声がすぐ隣から聴こえる。だから違いますと返そうとして、真剣な瞳の白蘭と視線が絡んだ。白蘭は黙って手を伸ばすと、骸の右頬にそっと触れた。そして骸の頬にできた小さな切り傷に指を添えて、切なそうな顔をした。


「もう1つ謝らなきゃならないのは…今日戦ってる時にさ、骸君の珠のような綺麗な肌に傷を付けちゃったことだよ。…僕、どうかしてた。ごめんね。」

「この程度の傷など、ただのかすり傷ですよ。あなたがそんな顔をする必要はありません。」


大丈夫だと頷いてみせると、白蘭は骸の頬から手を離し、そのまま夜空を見上げるように上を向いた。


「僕さ〜、骸君のことは大好きで堪んないから、一緒に居て幸せな気持ちになるんだけど、君と戦うのもすごく楽しくてワクワクするんだ。骸君の幻術ってすごいから。…未来の僕もそうだったみたいでさ、骸君と戦ってると楽しくなって本気になりそうになるっていうか、ついつい力が入っちゃうんだよね。でもだからって君を怪我させちゃ意味ないんだけど。」


白蘭の話を聞きながら、自分も同じだと骸は思った。白蘭のことは好きだが、真剣に戦っていると彼と戦えることが楽しいと感じられるのだ。そんな風に考えていると、不意に骸の中に未来の記憶と共に未来の自分の感情が湧き上がって来た。初めて白蘭と戦った時の心が震えるような、何ともいえない高揚感。体の中を興奮が駆け巡った感覚までもが、まるで自分が体験したかのように鮮明に思い出せる。確かに今の自分も白蘭と戦うことが楽しかった。


「僕も、同じです。…あなたと戦うことは楽しいです。ですから遠慮なんて要りませんよ。本気で来て頂かないと面白くないですから。」


白蘭は自分にとって最早大切な存在となっているが、好敵手であるともいえるのではないだろうか。骸は少しだけ挑戦的に白蘭に微笑み掛けた。白蘭は不敵な骸に息を飲み、見とれるような表情をしていたが、我に返ると嬉しそうに頷いた。


「そうだね、骸君の言う通りかも。この代理戦争中は僕も君に遠慮しないで戦うことにしようかな。勿論その戦い合いには僕の愛が込もってるからね♪」


今さ、戦い合いの合いと愛を掛けたんだけど、分かった?白蘭が楽しそうにニコニコと笑顔を向けてくる。その笑顔が骸を惹き付けて離さず、何くだらないことを言っているんですかと小さく笑って、目の前の綺麗に輝く笑顔を見つめたのだった。



*****
それから2人は歩道の柵に寄り掛かったままで色々な話をした。白蘭は自分達の借りている屋敷は豪華だけれど、人数が多いから結構うるさいのだと話し、骸は最近合流した幼い弟子に手を焼いている話をした。お互いの最近の状況を夢中になって話していると、白蘭が突然あっ、と声を上げた。


「話し込んでたからすっかり忘れてたけど、骸君ほっぺた怪我してたよね。」


白蘭は彼なりに着こなしているパーカーのポケットに手を突っ込む。これ使って、と差し出された物を見て、骸はそのまま固まってしまった。白蘭が骸に手渡した物は、可愛らしいクマのキャラクターの絆創膏だった。


「僕のチームって女の子が2人も居るから、こういうのも必要で…あっ、でも骸君、嫉妬とかしなくていいからね。僕は骸君だけで…」

「嫉妬はしませんから大丈夫です。そうではなくて、その絆創膏はないです。…僕は男ですよ。」

「えぇ〜、仕方ないな。じゃあ普通の方にするよ♪」

「全く…最初からそちらにして下さい。」


骸君からは傷は見えないから僕が貼ってあげるね。弾んだ声で再びポケットから別の物を取り出すと、白蘭が骸の頬に優しく絆創膏を貼った。貼り終わった白蘭は骸を見つめ、どこか嬉しそうにしていたのだった。





「…さすがにもうそろそろ戻らないと、皆に色々言われちゃうかなぁ。本当は朝まで骸君と一緒がいいんだけど。」


それからしばらくして白蘭がぽつりと呟いた。2人で時間を忘れて話していたが、もう随分と時間が経ったように思われた。もう少しだけ白蘭の隣に居たいという気持ちと、これ以上一緒に居たら心臓が保たないような気もして、骸は心の中で葛藤していた。そんな骸の心を余所に、白蘭は寄り掛かっていた柵から体を起こして骸に向き直った。


「骸君、今日はありがとう。…今度の戦いの時もまた一緒に楽しもうね。」

「はい。僕の方こそ、今日は…」


ありがとうございますと言おうとしたが、白蘭に思い切り抱き締められてしまって言葉が続かなかった。心臓がドクドクと激しく脈打ち、骸は自分の心臓の音が自分を包んでいる白蘭に聴こえてしまわないようにときつく目を閉じた。


「おやすみ、骸君。」


ゆっくりと体を離した白蘭が優しく微笑んで骸の頭を撫でる。その心地良さに心がじわじわと満たされていき、骸は勇気を出すとふわふわとした髪に指を絡めてみた。嬉しそうに目を見開く白蘭に幸せで堪らない気持ちになり、骸もおやすみなさいと微笑み掛けたのだった。



*****
白蘭と別れ黒曜ランドに戻って来ると、珍しく幼い弟子が出迎えてくれた。だが骸を見た途端に、うわぁと嫌そうな声を出した。


「…フラン、何です?」

「師匠、らぶらぶっぷりを誰かに見せ付けたいのは分かりますけどー、普通に引くんでやめてもらえますー?」


何を言っているのかと目の前の少年を問い質すと、黙って鏡が差し出された。骸は訝しみつつフランからその鏡を受け取ると、自室に戻って部屋の照明を点けた。そしてそのまま鏡を覗き込んで、思わず叫び出しそうになるのを必死で抑えた。


「なっ…何ですか、これは!」


鏡に映る文字を見て骸の顔が朱に染まっていく。右頬に貼られた絆創膏には黒のマジックのような物で白蘭LOVEと書かれており、ご丁寧にハートマークまであった。先ほど絆創膏を貼り終わった時に白蘭が嬉しそうにしていた理由が分かってしまって、骸は溜め息を零した。昼間でなくて本当に良かったと思う。もし人通りの多い昼間だったら、非常に恥ずかしいことになっていたに違いなかった。そのまま手を伸ばして絆創膏を剥がそうとしたが、骸はその手を止めた。


「白蘭…」


絆創膏の文字に気付かないまま帰って来てしまったことは酷く恥ずかしかったが、段々嬉しさのような感情が込み上げて来て、骸は鏡の中の絆創膏をじっと見つめた。


僕はどうやら相当重症のようです。普通はこんな絆創膏、ふざけているとしか思えないのに。こんなちっぽけな物が嬉しいだなんて。白蘭の気持ちが感じられるからといって…あの日、一緒に夕空を飛んだ日に自分の中にある想いを理解してしまってから、僕の中で確実にその想いが膨らんでいるようだ。僕は確かに白蘭が好きで、もう止められない。僕の気持ちはこれからもどんどん加速していくでしょうから。


「…仕方ありませんね。怪我が治るまで、もうしばらく貼っておいてあげますよ。」


骸は小さく独りごちると、白蘭の想いが詰まった絆創膏に触れて綺麗に微笑んだ。






END






あとがき
原作と同時進行で…以下略シリーズ第4弾です。今回もやってしまった感がありますが、戦闘2日目辺りを色々勝手に妄想してみました^^ 絆創膏ネタをねじ込みたくて、骸には再び怪我してもらってます。捏造万歳ですね(^^;)


戦いが終わった後に、白骸の2人でこっそりと会っていたら、大変萌えるなぁと思います!あと、お互い相手が好きなのは勿論ですが、戦うのも楽しいと思っていると良いなと個人的に思います。

色々あり得ないのは毎回ですが、読んで下さって本当にありがとうございました(´∀`)

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あきゅろす。
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