君と2人って最高だね♪
原作寄りの現代の2人です
色々無理矢理設定です
白蘭とファミリーレストランで会って話をする。彼がデートと言い張るこの不思議な逢瀬は、もうすっかり骸の日常の中に溶け込んでいた。
今日は午後も随分と経ってから白蘭が現れた。彼に誘われるままに、骸はもうお決まりになってしまったレストランへと足を運んだ。店内はデザートを囲んで雑談に花を咲かす主婦達がちらほら居るだけで、まだそれほど賑わってはいなかった。
骸は運ばれてきたチョコレートケーキを食べながら、目の前でフルーツパフェを美味しそうに頬張っている白蘭に声を掛けた。
「前回会った時、何やら格好良く会いに来ると言っていましたけど、微妙でしたよ。」
「うっ、微妙って…色々考えたんだけど、あれしか思い付かなかったっていうか…」
白蘭の言葉に、先ほどの彼のことを思い出して骸は小さく笑った。いつものようにソファーに座って自分なりにこの戦争の戦略を考えていたら、いきなり誰かに背後から目隠しされたのだ。その人物は、「むっくろクン♪…だ〜れだ?」と、楽しそうな声で問い掛けてきた。だが考えるまでもなく、自分にこんなことをするのは1人しか居るはずがなかった。
「あんなことをされても、声であなただと分かりますよ。本当にあなたは子供ですね。」
「…そうだけど、そこは、『誰ですか?分かりません。キスしてくれたら分かるかもしれませんよ、ダーリン♪』とか言ってくれなきゃ。」
「な、何言ってるんですか!馬鹿じゃないですか、あなたは。…堕としますよ。」
「やだなぁ。冗談だよ、骸君。」
白蘭はニコリと笑って、再びスプーンを口に運び出す。白蘭の言動はこんな風にいつも自分を振り回すので本当に困ってしまう。だがそう思う一方で、自分と居て楽しそうにしている彼を見ていると、骸は心の中がふわりと温かいもので満たされるように感じるのだった。
*****
「あのさ、骸君。骸君って…空を飛んだことってある?」
パフェを食べ終わった白蘭が、真剣な瞳で突然そのようなことを言い出したので、いきなり何を、と骸は目を見開いた。
「幻術は自在に使えますが、さすがに空を飛ぶのは…」
空を飛べるか。いきなりの白蘭の質問に、骸の中で未来の記憶が蘇った。それは沢田綱吉と白蘭の最終決戦の記憶だった。死ぬ気の炎を噴射して宙を舞う綱吉と、白い翼をはためかせていた白蘭。中立的な立場に居ようとしても、未来の自分は白蘭のその純白の羽根に心を奪われていた。
「だよね〜。やっぱり骸君でも空は飛べないよね。」
じゃあさ、白蘭はそう言って立ち上がると、骸の腕を掴んでそのままレストランを出た。いまいち状況が掴めないまま、骸は白蘭に手を引かれて大人しく後をついて行った。白蘭はレストランの駐車場で足を止めると、周囲に人が居ないか確認するように左右を見た。そして骸の腕を離すと、楽しそうな笑顔を浮かべた。
「骸君もこれからの戦いのこととかで、色々考えて煮詰まったりしてるでしょ?…だからさ、息抜きも必要だと思うんだよね♪」
ふふ、と笑う白蘭の背中には、いつの間にか白い翼が生えていた。だがその翼は、骸の記憶の中のものより幾分小さいものだった。
「白蘭、あなた、その羽根で…」
「うん♪これから一緒にさ、お空のお散歩デートしようよ、骸君。」
「…ですが、さすがにそれは、ちょっと…」
骸は白蘭の背中にある羽根を見つめた。白蘭は骸の言わんとしたことが分かったのか、ああ、大丈夫だよ、と弾んだ声を出した。
「今はこれくらいの翼しか出せないから、骸君と手を繋いで飛ぶなんてことはできないんだけど。…こうすれば大丈夫だから。」
大丈夫とは?すぐ目の前に来た白蘭にそう尋ねようとして、骸は自分の体が横抱きにされたことに思考が停止しそうになった。それは所謂お姫様抱っこであり、白蘭の顔があり得ないほどの近さにあった。
「白蘭!…今すぐ降ろして下さい。は、恥ずかしいですから!」
「骸君、かっるいなぁ〜。スタイルいいから当たり前か。よし、じゃあ行くよ。」
骸の抗議を軽くかわして白蘭は抱える腕に力を込めた。白蘭の腕の温もりをすぐ近くに感じて、骸は胸が熱くて堪らなかった。白蘭のブーツが地面を小さく蹴る感覚がして、次の瞬間白蘭の腕に抱えられたまま、骸の体は確かに宙に浮いていた。
「すごいです。…僕、空を飛んでいますね。」
「どう?空を飛ぶっていいもんでしょ?」
「はい、いつもと風が違うような気がします。」
ゆっくりと空を飛ぶ白蘭に抱えられながら、骸は風に靡く前髪を押さえた。それは良かった、と顔を覗き込んできた白蘭と目が合ってしまい、骸は恥ずかしさを隠すように目の前に広がる茜色の空を見た。
「…地上で見る夕空も良いですが、遮る物が何もない空は、こんなにも綺麗なんですね。」
「うん、骸君の言う通り、本当に綺麗な夕焼けだよね。」
白蘭が優しく骸に微笑み掛ける。それに応えるように、骸は白蘭の着ていたカットソーをそっと握り締めた。
*****
ファミリーレストランや黒曜ランドの裏手は街を見渡せる高台になっており、そこには小さな公園も併設されている。白蘭はレストランからそのまま高台まで時間を掛けて飛ぶと、公園のベンチに骸を降ろした。ベンチからは夕焼け色に染まる黒曜の街が良く見え、さらにその向こうには並盛の街が広がっていた。
「白蘭、ありがとうございました。初めはさすがに僕も不思議な感覚がしましたが、空を飛ぶというのは、あんなにも気持ちが良いんですね。」
「あんまり長い間飛べなくてごめんね。でも骸君が楽しんでくれたんなら、僕すっごく満足だよ♪」
嬉しそうな声を出して白蘭が骸の隣に座る。少しだけ空いているベンチの隙間が、骸には何だかもどかしく感じられ、自分は何を考えているのだと頬が熱くなった。
「こんな風にあなたと夕陽を見るのも…悪くないですね。何だかいつもより、綺麗だなって思います。」
「…っ、骸君。」
白蘭に名前を呼ばれ、視線を合わせようとした瞬間、白蘭の顔が骸の目の前に広がった。頬に手を添えられ、優しく口を開かされて自分が白蘭に口付けられているのだと理解した。驚きで目を見開いていると、嬉しそうに目を細める白蘭と視線が絡まった。
「骸君の方が、ずっとずっと綺麗だよ。それから、男は皆オオカミなんだから…油断しちゃ駄目だよ♪」
唇がそっと離され、耳元で甘い声が響いた。心臓が破裂しそうなほど脈打っていて、骸は隠せないほど今の自分は顔が赤くなっているだろうと感じた。
「…白、蘭。」
「だから、骸君。油断しちゃ駄目だって。…でも僕の前だけでなら、全然いいんだけどね。」
骸をベンチの背に押し倒すように白蘭が体を預け、先ほどよりも深く口付けた。骸は白蘭の口付けを受けながら、彼と飛んだ時の浮遊感に似た心地良さを感じていた。白蘭とキスしても、全く嫌だとは思わない。むしろ胸の辺りが甘く締め付けられるような、癖になりそうな心地良さが骸の頭の中を支配していた。
自分は最早未来の記憶など関係なく、白蘭のことを好きになっているのではないか。白蘭のことを考えると、今まで感じたことがないほど胸が熱くなって、けれどもそれがどこか心地良さを伴っていて。白蘭が自分に微笑んでくれると、心が温かくなって。
骸は白蘭の背中にそっと腕を回しながら、そんな風に考えて自分の中にある想いを自覚したのだった。
END
あとがき
原作と同時進行で、けれども原作無視して白骸をいちゃいちゃさせちゃえ♪シリーズ第3弾です。
相変わらずファミレスデートしかしてなくてすみません(><;)
標的357の天使白蘭を見て、あまりの可愛さに、これは骸と飛んでもらうしかない!と思いました(・ω・)骸が幻想散歩が趣味ならば、白蘭も空中散歩とか好きだよね、という安易な感じです(^^)
このシリーズはのんびり不定期更新していきたいなぁと思っております。多分どこかで破綻しそうですがw
読んで下さいまして、どうもありがとうございました!
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