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ヤキモチ妬かせちゃった♪
会いに来たよ♪の続きです(10000HITリクエスト)




最近自分の視界に、白い色がちらつくことが増えたように骸は感じていた。原因は勿論、今目の前でチーズドリアを美味しそうに頬張っている青年なのだが。



「やっぱり日本のファミレスって、安くて美味しいよね。骸君もどう?…はい、あ〜ん。」


笑顔でスプーンを差し出してくる白蘭に結構です、と断ると、彼は骸君のケチと形の良い唇を尖らせた。


「白蘭、あなたはこうして僕に会いに来ますけど、相当暇なんですか?…これからの戦いの準備など、僕に構っている時間はないと思うのですが。」


骸の言葉通り、今日も白蘭は突然自分の目の前に現れて、強引にこの前のファミリーレストランへ連れてきたのだ。この前は何も食べなかったし、骸君と色々話したいもん、と白蘭は楽しそうだったが、正直骸は複雑だった。まだ白蘭のことをどう思っているのかはっきりした訳ではなかったし、この前の手の甲へのキスも忘れた訳ではなかったからだ。だが1つだけ自分でも理解していることがある。それは、白蘭を意識してしまっている自分だった。気が付けば、目の前の白蘭の仕草を目で追ってしまう。認めたくないと思うのに、自分の中で確実に白蘭が大きくなっている気がした。



「大丈夫だよ。僕もそれなりに準備はしているし…ユニちゃんにも色々相談したりとかさ。」



ユニ。白蘭が紡いだ言葉に骸の肩が小さく揺れた。白蘭との会話の中で、何度となく彼から聞いた名前だ。注文した料理が運ばれて来るまで話していた先ほども、彼の口から紡がれていたものだった。


大空のアルコバレーノである彼女を骸は見たことがない。自分の中にある未来の記憶の中で窺い知ることができるだけだ。だが、あまり他人を褒めない自分でもすごいと思ってしまうほど、ユニは強くて優しい少女だと思えた。


そんな彼女のことを熱心に話す白蘭に、骸は何となく胸がチクリとした。ユニちゃんってさ〜、と会話を続ける白蘭の言葉も、耳をすり抜けて行った。


「…白蘭、僕なんかよりユニの方が良いのではないですか?僕に会いに来たという割には、先ほどから彼女の話ばかりですし…」


白蘭が驚いた顔をして骸を見た。無意識に口から出てしまった言葉の意味を理解して、骸は思わず口元を押さえた。自分は、何てとんでもないことを口走ってしまったのだろう。後悔がぐるぐると骸の頭の中を駆け巡った。


「ふ〜ん、なるほど♪やっぱり骸君も、僕のことが好きなんだね。嬉しいよ、すっごく。」

「なっ…違います!今のは何かの間違いで…」

「いやいや、間違いなんかじゃないでしょ。骸君…ヤキモチ妬いてるもん。僕にユニちゃんの話はするなって言ってるのと同じだよ。」

「白蘭、ですから僕は…」


自分がユニに嫉妬?そんなはずはないと思いたい。だが無意識に放った言葉は、白蘭の言う通りだった。心のどこかにそんな気持ちがあったから、口に出てしまったのだろうか。後悔してももう遅い。骸は恥ずかしさから、今すぐこの場を立ち去りたかった。だが、骸を逃がさないとでもいうように、白蘭が骸の手を握った。


「骸君、君は戸惑ってるかもしれないけど、僕は骸君がヤキモチ妬いてくれたことが本当に嬉しいんだ。…今すぐ僕のことを好きになってなんて言わない。だからさ、またこんな風に、骸君の気持ちを僕に見せてよ。それだけで僕、幸せなんだ。」

「白蘭…」

「まだご機嫌ななめ?」

「それは、その…」


ユニに嫉妬している。白蘭の指摘に機嫌が悪くなったというより、恥ずかしくて仕方がなかっただけだったが、何となく言いにくくて、骸は下を向いた。



「じゃあさ、僕の髪触る?」

「え?」


何の脈絡もなく、突然白蘭が言った内容にさすがに骸も気が抜けてしまった。何故この流れから、自分が白蘭の髪を触らなければならいのだろうか。


「未来の記憶の中でさ、喧嘩とかしちゃって、仲直りする時に骸君、良く僕の髪を触ってたんだよ。僕のふわふわの髪が近くにないと落ち着かないって。僕の髪を触ってたら、機嫌も治ってしまいましたって…だから、骸君にも僕の髪を触ってもらって、機嫌治してもらおうかなぁ、なんて。」



えへへと笑っている白蘭に、骸の中で同様の記憶が蘇った。決して今の自分ではない。だけど、少し大きくなった自分の手に髪を触られて、幸せそうに目を細める白蘭が瞼の奥に確かに居るのだ。さらに厄介なことに、その記憶は白蘭が愛しくて堪らないという、もう1人の自分の想いまでも骸の中に残していた。本当に厄介だ。厄介で仕方がない。



「誰が触りますか。」


赤くなっているであろう顔を見られたくなかった骸は、再び下を向いて腕を伸ばすと、白蘭の髪ではなく、ベストのフードを掴んで押し付けるように白蘭の頭に被せた。


「クフフ…そうしていると、あなた白いですから、まるで雪ん子みたいで滑稽ですよ。あ、ですが、雪ん子は藁を被ってましたっけ?」

「何か良く分かんないけど、思いっきりからかってるよね。…うん、でもいいや、骸君が笑ってくれたから。君の笑顔を今、初めて見ることができたんだもん。」

「…っ、」


白蘭の楽しそうな顔に骸は言葉を詰まらせた。自分の笑った顔が見られて嬉しいだなんて、彼はどうかしている。だがそれを少しだけ嬉しいと思ってしまった自分は、もっとどうかしているのだろう。



「今度骸君に会いに来る時は、フードを被ってカッコ良く登場ってのもありかも♪」

「そんな子供っぽいことしても、僕はときめきませんよ。」


骸は意地悪く笑って白蘭に告げる。だがその程度でめげない白蘭は、じゃあ、次会う時までに何か考えとくね、とニコリと笑った。また近い内に白蘭が会いに来る。骸は嬉しさを隠すように、まぁ少しくらいは楽しみにしてあげますよ、と頷いた。





END






あとがき
このお話はイル様からリクエストを頂きまして、原作寄りの現代白骸の続きになっています。


こちらで好き勝手に書かせてもらいましたが、少しでも楽しんで頂ければなと思います^^


原作と同時進行なので、色々と無理矢理感がありますが、どうしてもユニちゃんにヤキモチを妬く骸と、フード白蘭が書きたくて詰め込みました♪骸がヤキモチ妬いている一方で、白蘭の方も骸君だって、ボンゴレのことばっかり考えてて、僕も本当は嫉妬してるんだよ、と思ってると思います(^O^)


本誌に今まさに白蘭と骸が登場していて、それだけでもう幸せですよね(^∨^)


この度はリクエスト本当にありがとうございました(*´`*)

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あきゅろす。
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