[携帯モード] [URL送信]
会いに来たよ♪
原作寄りの現代の2人です
色々無理矢理設定です




「ねぇ、骸君。君、怒ってるでしょ?」

「…別に怒ってませんよ。」

「え〜、怒ってるって。…未来で僕、っていっても僕じゃないけど、まぁあんなことしちゃったしさ。多分あれは、愛情表現の1つだったんだと思うんだけど。」

「そのことは別に気にしてません。…そうではなくて、僕はこの状況に驚いているんです。」



骸は目の前の白い髪の少年をじっと見た。自分が直接体験した訳でもないのに頭の中にある記憶の中の彼よりも、目の前の彼は随分と若かった。だが骸にはそんなことは些末なことだった。問題はどうして今、白蘭と2人で黒曜ヘルシーランドの近くにあるファミリーレストランに居るのかということだった。店内は平日の夕方のせいか、学生達で賑わっており、自分達のテーブルの上にも先ほど注文したジュースが置かれていた。



*****
遡ること数十分前、骸はいつものように自分の活動拠点としている黒曜ランドで、これから始まる代理戦争について思いを巡らせていた。犬や千種達は出掛けており、色々と集中して考えるには最適だったのだ。それなのに。


「やっほ〜骸君♪…君に会いたくて、僕1人で先に日本に来ちゃった。」


そう言って骸の目の前に、突然白蘭が現れたのだ。本当に突然で、骸が驚きに目を見開いていると白蘭はデートしようよ、と骸の腕を引っ張って、近くのファミリーレストランに向かったのだった。




「未来の僕も本当に見る目があるよね。だって骸君、すごく綺麗だもん。」


白蘭がストローでグラスの中の氷をくるくるとかき混ぜる音で、骸は我に返った。白蘭はすぐにそれも飽きたのか、かき混ぜるのをやめると真剣な瞳を骸に向けた。


「…本当は、今日骸君に会うまで良く分からなかったんだよ。君が好きって気持ちは、今はもう繋がらない未来の僕の気持ちな訳だし。それすらも記憶の中でそうなんだって知ったくらいだし……でも今日、君に会いに来て分かったんだ。僕、やっぱり骸君が好きなんだって。」


だって骸君を見た瞬間、僕の心が震えたんだ。白蘭は恥ずかしげもなく骸に告げた。あまりにも真っすぐなその気持ちに、骸は息が止まったように感じられ、どうして良いか分からなくなってしまった。


「すみません。僕は、その…まだ良く分かりません。」


そう言うのが精一杯だった。今は白蘭とどう接するべきなのか、自分の気持ちが掴めていなかった。未来の自分は白蘭と恋人であったかもしれないが、今の自分は彼と接点がある訳でもない。白蘭の方もそれは分かっていたようで、ゆっくりでいいから、僕のことを考えてみて欲しいな、と笑っていた。



「それにしても、こっちの骸君は当たり前だけど、髪短いんだよね。…ねぇ、伸ばさないの?」


白蘭が腕を伸ばして、骸の髪に一瞬触れた。すぐ近くに端正な顔があって、骸は訳もなく動揺した。


「あ、あなたこそ、随分と派手な格好ではないですか?この辺りでは学生服でないと、目立ち過ぎですよ。」

「派手かなぁ?でも僕に良く似合ってると思うけど。…骸君、うっかりときめいたりした?」

「誰がときめきますか。…突然来て本当に驚いたのですから。」


フットワークが軽いのが、僕のいい所じゃん、と白蘭がいたずらっぽく笑う。記憶の中の彼よりも幼い笑顔に、今は戸惑いの方が大きかった。



「骸君、僕は君が好きだけど、この代理戦争に参加する以上は一応僕と君はライバルだ。骸君には譲れない目的もあるだろうし。」

「はい。それはあなたでも口出しはできません。」

「…本当は君と一緒に戦う方がいいんだけど。…骸君、あのね、全部…そう何もかも全部終わったらさ、君を迎えに来るよ。骸君が嫌って言っても離さない。」

「…っ、白、蘭。」


どうしよう、どうすれば良いのだろう。骸の頭の中は白蘭の言葉で一杯になってしまい、代理戦争のことなど吹き飛んでしまいそうだった。それくらい白蘭は自分に真剣だった。



今日はさ、骸君の顔が見たかっただけだから。白蘭は骸に微笑むと席を立った。帰ろうとする白蘭に心のどこかで、まだ彼と居たいような気がして骸は自分に驚いた。


「あの、白蘭…」

「僕は本気だから。考えておいてよね。」


白蘭は白い手袋をはめた手で骸の手を恭しく持ち上げると、手の甲に約束の印のようにキスをした。そして真っ赤になってしまった骸にウインクを1つ投げ掛けると、颯爽と店を出て行った。




「迎えに来る、ですか。」


1人残された骸はぽつりと呟いた。白蘭は突然来たかと思えば、あっという間に帰ってしまった。それが骸には少しだけ残念だった。そう思った途端、また頬に熱が集中してしまい、骸は両手で頬を押さえた。



「これでは、逃げ切れそうにありませんね。」



骸は困ったような声を出したが、その口元には笑みが浮かんでいた。






END






あとがき
本誌に白蘭再登場記念に、現代白蘭が骸の所にやって来たお話を書きました。公式で色々と判明する前に、妄想をねじ込んでみましたよ(^∨^)後で矛盾しそうですが、知りませんw


恋人の記憶も10年前の2人にちゃんと受け継がれていると信じています(`・ω・´)2人は現代でもらぶらぶしていれば問題ないですしね♪


読んで頂きまして本当にありがとうございました(^▽^)

[*前へ][次へ#]

45/123ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!