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「食わねぇのか?」
「……」
「おい」
「……」

両手でハンバーガーを持ったまま口をぽかんと開け、ぼんやりと俺を見ている。

「愛姫!」
「え……?」
「早く食え」
「あ、はい」

開けたままだった口に頬張り、大好きだと言うストロベリーシェイクをごくごくと飲み下す。
どうなんだ、その組み合わせ。

「よく飲めるな、そんなもん」
「ハルも」
「いらねぇ」
「や、約束……」
「……チッ」

ああむかつく。自分が放った言葉で、こんなにも後悔する日が来ようとは思わなかった。

「クソ甘ぇ……」

ぶんどって一口だけ飲んでみたが、予想以上に甘く、すぐに自分のコーヒーを飲み直した。

「二度と飲むか」

シェイクを返して愛姫を見ると、にこにこと幸せそうに笑ってやがるのがまたむかつく。舌打ちすると、それに気づいて焦った様子で謝り、見てみたかったんだと肩を落とす。

「何を」
「……ハンバーガー持ってポテト食べて、シェイク飲んでる、ハル……」

マジでお前はくっだらねぇことを思うよな。

「満足か」
「うん」
「……そうかよ」

妙に浮かれているようだが、口に詰め込んでいるせいで滑舌は非常に悪く、嬉しいと言うのは聞き取りにくかった。

「口に入れたまま喋るな」

注意をすると、目を丸くして急いで噛み砕き、ごくんと飲み下した。で、当然の如くむせた。……馬鹿が。

「いつも言ってんだろ」

水を飲ませて落ち着いたのを確認して席を立つ。

「どこ行くの?」
「タバコ吸ってくる」
「分かった」
「一人で大丈夫か?」
「うん、食べ終わっとく」
「よく噛んでゆっくり食えよ」
「分かってる」
「あー、勝手に動くなよ。何かあったらすぐ電話しろ」
「……やつぱりお父さんみたい」

首を傾げてぼんやりと二度目の呟き。
またか……ふざけんな、親とは目線が違うんだよ。

「……行ってくる」




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