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ベッドに入って隣に並び、肩肘をついてもう片方の手を愛姫の頬に当てる。

「冷たくて気持ちいい」
「……熱が下がったら何でもしてやる。どこでも連れてってやるし、お前の言うこと何でも聞いてやるよ」
「本当?」
「ああ、クリスマス駄目だった代わりだ」
「こほっ、いいの? 本当に?」
「完治したらな」
「……嘘じゃない?」
「あー」

言うことによほど信用ねぇのか、何度も確認をされる。

「どこでも、はあ、はあ、いいの? 何しても何をお願いしても怒らない!?」

ガバッと起き上がり、元々でかい目をさらに開く。汗をかいてまで、苦しそうにしてまで、きらきらと目を輝かせている。……マジで思うんだが、そろそろ眼球落ちてくんじゃねぇのか。

「全部聞いてやるっつってんだろうが! いいから寝ろ! この馬鹿!」

ゴホゴホと咳き込み始めた愛姫を布団に押し込むと、背中を丸めてゼェゼェと荒く息をしている。しばらくさすっていると、数分たってからようやく落ち着いた。
仰向けに寝直して、顔の鼻から上だけを出した愛姫が、怪訝そうにじとりと恨めしそうに俺を眺めて呟く。

「怒った……」
「ああ?」
「お、怒んないって言ったくせに」
「それは約束の時に1日限定の話だ。つーかこれ以上世話焼かせんなよ」
「……ごめんなさい」

いや、別に謝られるほどのことでもないが。とにかく、せめて明日ぐらいまでは、安静にしていてくれりゃいいだけのことだ。

「とっとと良くなれよ」

額の冷却シートを新しいのに張り替えてやると、その作業を見ていた愛姫が、もう一度謝ってきた。

「ずっとついててくれたんでしょ? 月曜日ってことはお仕事も……」
「気にすんな」
「でも、」
「いいんだよ。休みもあまってるしな」
「……ありがとう」

小さく微笑んだ愛姫が、安心したように目を閉じた。眠くないと言っていたがそのまま手を握っていると、食後に飲ませた薬のせいか、すうすうと寝息をたてはじめた。
まだ出社させるわけにはいかないが、これだと次に目を覚ました時には熱は下がっているか。

……お前が治んなきゃ俺だってつまんねぇよ。





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