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04


深夜になってようやくまとまった商談を終え、マンションに帰り着いた時、いっそう疲れを助長されるようなことがあった。

「……何してんだお前」

このクソ寒い中、ドアの前で愛姫がうずくまっていた。
慌てて引き上げて、冷え切った手を包んで部屋に入れた。暖房をオンにしてソファに座らせ、寝室から引っ張り出してきた毛布を渡した。

「部屋暖まるまでとりあえずそれで我慢しろ」
「……ありがと」

毛布にくるまったのを確認してキッチンに向かい、冷蔵庫からココアペーストとミルクを取り出して火にかけたあと、コーヒーをたてる。
様子を見に戻るとむくれた顔で、ジッと睨みつけてきた。……ふざけんな。

「遅くなるって分かってたろ」
「……」

何時になるか分からないことは、伝えておいたのだ。こんなことにならねぇように、一応メールも入れていた。

「おい、俺は怒ってんだよ」

頭を掴んでぐいっと上を向かせると、腕を払われ反抗的な目を向けられた。

「だって!」
「……いつからいた」
「……」
「まさか会社出たままここ来たんじゃねぇだろうな?」
「だって……だってどうしても一緒に過ごしたかった、から……」

思いっきりため息を吐いて踵を返す。出来上がったココアとコーヒーをカップに入れて戻り、一つを愛姫に渡すと、冷えた手を温めるように両手で包み込んだ。

「だからってこんなこと二度とすんなボケ」

怒鳴りつけてやりたいほどにいらついてはいるし、たかがクリスマスを一緒に過ごす為に、こんなことまでやらかす愛姫は、どこまでも面倒な女だ。
が、本音を言えば、たかがクリスマスを一緒に過ごしたいと、必死に訴えてくるのはやっぱり可愛いとも思う。
雪もちらつくほどに寒い中、帰ってくるのは何時間もあとだというのを承知のうえで、外で一人でずっと待っていた馬鹿さ加減に言いてぇことは山ほどあるが、今頃になってじわじわと罪悪感が込み上げてきている。

次々に出てくる文句と説教を喉の奥に押さえ込み、愛姫の手からカップを取り上げテーブルに置く。




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