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03


数日前のくだらねぇあの喧嘩からずっと、イブもクリスマス当日の今日も、いつまでも機嫌が悪い愛姫と、必要最低限の会話しかしていない。こっちが折れてやろうと携帯に連絡を入れても、何様のつもりか知らねぇが出やしねぇ。一度ならず二度までもシカトするとはいい度胸だ。

「田辺」
「死ねハゲ」
「愛姫ちゃんに何をした!」
「黙れハゲ」
「まるで別人だぞ! いつものパッチリおめめはどこに行った!」
「知るか。熨斗つけて実家に送り返してやるよ、あんな女」
「謝れ」
「うるせぇ死ね早漏ハゲ」
「だれがだコラ! 早漏じゃねぇ! ついでにハゲてもねぇ!」
「それ以上喋ったら頭蓋骨の内側を潰す」

田中を黙らせて外出の準備をする。
何でこれ以上謝らなくちゃいけねぇんだよ。妥協に妥協を重ねて頭を下げたっつーのに、いつまでもふざけた態度をとりやがる。ムカつきながらも愛姫に視線をやってみると、その顔はまだむくれている。会社でまで私情のゴタゴタを隠すこともせずに、不満を撒き散らすとは何様だ。仕事もろくにできねぇ奴が、いつも以上に使えねぇ。マジでクビにしてやろうか。

「部長ー、行きますよー」
「先に出てろ。すぐ行く」

しくじったと俺なりに少しは反省して、行動を起こしたつもりなのだ。そこまで悪いとも思っていなかったが、自分の中ではこんなに謝ったことも初めてだ。

「部長ー! 早く! どうしたんすか!」
「うるせぇよ」
「仕事でしょうが。とっとと動いてくださいよ」

逢坂が荷物を取って急かす。

「最近てめぇ生意気なんだよ」

背中を押されながら車へと向かった。


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あきゅろす。
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