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何度もキスをして、目尻に残る涙を吸いとった。そのまま唇を重ねて舌を絡めながら、ブラウスのボタンに指をかけた。

「ハル……? な、に……?」

愛姫の手で動きを止められ、不安定な瞳に見つめられて、僅かに心臓がざわつき始める。
……罪悪感と喜びと、欲望とが交差するこの感情は、また厄介なものだ。

「んんっ、あっ……!」

耳に口づけると体が弓なりに反って顔が上がり、口元にきた首に吸いついて、鎖骨のラインに舌を這わす。

「あ、や……あ……」

蕩けた声は……耳を伝って脳から心臓、下半身にまで到達し、今にも飛んでしまいそうになる意識をつなぐことにも苦労している。

「……ハル……こわい……」

目を閉じたまま俺の首に腕を回し、怖いと泣く。

「愛姫、大丈夫だから」

ふるふると首を振って涙を押し出している。……たぶん、少ない知識の中で考えたのだろう。これから何が始まるのかを。

「……大丈夫だ」
「……っふ、っく……う……え、え……ちなこと……」
「……ああ、する」
「ハル……あたしのこと……」

ああ、それはそうなのかもしれねぇ。こいつにとっては初めてのことで、不安は当然だったのだ。
深く息を吸い込み、深呼吸を一つ。今までいくら試みてもできなかったことがある。

愛姫、俺はお前が思っているよりもずっと……お前のことを……

「愛してる」

喉に引っかかるものを感じながら、生まれて初めての言葉を吐いた。

瞳を縁取るまつげについた水滴が珠になって流れ、紅潮しきった顔でわんわん泣き出す。
固かった表情と緊張した体は少しずつ弛緩していった。




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