15 ◆ 何度も電話を入れて、こんな時間になんとかとれたホテルの部屋で、シャワーを浴びてベッドに倒れ込んだ。 眠気は半端ねぇのに、照明を落として目を閉じてみても眠れやしねぇ。……本当に何をやってんだ、俺は。結局、最後に泣かせてしまったのは自分じゃねぇか。 一緒にいたい……そんな簡単な願いを聞いてやることが、今の俺には難しすぎた。 なぜか。その願いを受け入れてしまったら、絶対に酷く扱ってしまうのが目に見えているからだ。 今、傷つけてしまったことは分かってはいるが、俺自身が制御できないこんな状態でそばにおいておくと、いくら泣こうが喚こうが、絶対に止められねぇ。 帰りたくないと言った愛姫は、いったいどんな気持ちだった? あいつのことだから、その言葉通りの意味だろう。 あいつが望むことは分かっている。抱きしめていてほしい、手を握っていてほしい。だから駄目だ。そんなもんで止まるはずがねぇんだよ。 同じ空間で、たわいもない話をしてテレビを見て、一緒に飯食って。それがあいつにとっての幸せで、本当に嬉しそうに笑う。 それを愛姫が望むのなら、そんなことでそんな笑顔が見れるのなら、禁欲ぐらいどうにでもなっていたというのに……今日ばかりはそうもいかない。 ───あいつは今頃きっと泣いているんだろう。それでも、ズタズタにしてしまうよりはずっといい。 ……そんなことを考えているとは知らないあいつの瞳に、俺はどう映ったのだろう。酷い男だと思っただろうか…… *←→# |