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07


お酒の匂いが充満しているのが、飲めないあたしには辛くて少しだけ新鮮な空気が恋しくなった。外に出ようかと立ち上がろうとしたら、ぐん、と腕を引かれ、そのまま椅子に戻された。

「きゃ! なに? びっくりした……」
「やっぱ彼氏だろ、さっきの」
「……えーっと、あの……うん」
「……へぇ……お前もついに男できたか。そっかそっか」

良かったな、と笑って頭をくしゃくしゃと掻き回され、なんとなくむずがゆいような気分になった。
恋愛なんて学生時代には無縁だったせいもあって、その頃を知るお友達に、愛しいハルの存在を知られるのはなんだかとっても、照れるというか、恥ずかしいというのか……
とにかくそんな気持ちになって、これは不思議な感覚だ。

「あのさあ、」
「うん?」
「よーし! そろそろ解散するか!」

何かを言いかけた高橋くんの、先に続く言葉を聞こうとしていたけど、御開きのかけ声に遮られてしまった。

挨拶もそこそこに、酔いつぶれている皆を手分けして、タクシーに乗せたり送って行ったりと、それぞれの帰路につく。
あれだけ盛り上がっていたけれど、最後は意外とあっさりと解散してしまって、少しの寂しさに見舞われる。

「愛姫ー! またすぐ会えるからね! いい子で頑張るのよ?」

視線の定まらないままのみどりから、抱きしめられる。

「酔っ払いに心配されなくても大丈夫だよなー?」
「高橋黙れ! あたしは愛姫のことが心配なんだ!」
「大丈夫だよ。ちゃんとやってるんだから心配しないでよー」
「そんなことよりお前ちゃんと帰れんのかよ? ってあれ? 寝てんじゃねぇか……」

あたしを抱きしめたまま眠ってしまったみどりは、こっちに帰ってくるたびに会っているけど、相変わらずの心配症だ。それだけ気ににかけてもらえることは嬉しい。

「みどりはあたしが送ってく」
「森下大丈夫か? 酔っ払いを引きずっていくのは至難の業だぞ」
「あはは、大丈夫だって。でもとりあえずちょっと……」
「……だろうな」




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