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05


愛しの彼女から待ちに待った連絡があったというのに、どうにも落ち着きがない田辺がドス黒いオーラを放っている。

商談は楽勝で成立。資料をまとめる残業なんて、いつもならとっくに終わっている時間のはずなのに。この馬鹿上司は心ここにあらず状態で、まだまだ終わりそうにない。
タバコの本数を増やす暇があるのなら、携帯に視線を落とす暇があるのなら、目の前のパソコンに文字を打ち込め! 私情は持ち込まないのが主義じゃないのかよ!!
いつもは人に、仕事が遅いだのグズだのと言うくせに。

頼むよマジで。愛姫ちゃん早く帰って来て! そして一刻も、一刻も早く……この色ボケ上司をどっかに連れて去っちゃってよ。

「やめた」
「は? 何?」
「あと頼んだ」

って……はい? 何を勝手に帰る準備してるんですか?

「まだ終わってねぇだろ!」
「ああ。だから頼むって言ってんだろ。つーか部長命令だ。頑張れよ」
「はぁ!? お前いい加減に……オイコラ!」

鞄を持って早々に出て行く田辺。後ろ手にオフィスの鍵を投げ、それは見事に俺の手の中に納まった。
見てないくせにナイスコントロール!
って違うだろ!

マジかよ……勘弁しろって! 今日中に仕上げねぇと駄目じゃん! どんだけ残ってんだよ。

急いで色惚け馬鹿野郎のパソコンを開くと、我が目を疑いたくなった。とても田辺の仕事後とは思えない……

ド畜生! どんな上司だ。完全に職権乱用じゃねーか!

愛姫ちゃん……俺は前言撤回させていただくよ。連れ去ってってのはやめる。
……あんな奴はボロギレのように捨ててやれ! 段ボールにでも詰めてゴミの日に出してしまえ! 嵐の日にでもポイっとやってしまえ!!




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あきゅろす。
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