04
気を取り直し、パソコンに向かっていると、響き渡る電話の音。
「とっとと出ろよ。気が散る」
「へーイ、人使い荒い上司ですこと」
うっせーアバラ折るぞ馬鹿が。
「部長さーん、お得意様から三番にお電話でーす」
またクレームかよ。面倒くせーなもう。
「お電話代わりました。田辺ですが」
『あの……ハル?』
「あ? ……愛姫……テメェ……なにやってんだ! 携帯見てねぇのか? 着いたら連絡しろって言っといただろが!!」
『ごめんなさい! だって携帯忘れたんだもん! ハルの番号分かんなくて。だから、その……』
忘れただ!? 何やってんだ。つーか俺の番号ぐらい覚えとけよ……
「テメェ人がどんだけ心配したと思ってんだ……」
『うー……ごめんなさい……』
沈んだ声で、今にも泣き出しそうな愛姫の様子が電話越しに伝わるが、そんなこと知るか。少しは反省しろ。
『ごめんなさい……』
「今どこだ?」
『ど、同窓会の会場……もうすぐ二次会でカラオケ行って、それからまた別の場所に……』
「へー……」
『あの……』
「場所は?」
「○○駅の近くの……」
「分かった。酒飲まされてないか?」
『うん、大丈夫』
とりあえずは一安心ってとこか……
「嫌なことされてねぇか?」
『平気……あ、でも……』
「どうした?」
『や、や、やっぱりいい! 何でもない!』
……何かあったな。分かりやすく嘘つきやがって。
「何があった……」
『もう戻んなくちゃ! あの、後でまたかけるね!』
勝手に切りやがった……
ふざけんな、明らかに何か隠してんだろうが。
ガチャンと受話器を叩きつけて、吸いかけていたタバコの煙を吐く。
「お待ちかねの連絡だったのに、何そんな怒ってんの? 可哀想に愛姫ちゃん」
「何がお得意様からだ」
「まあまあ。それよりあのさ、携帯忘れて分かんねぇから、わざわざここの番号調べてかけてきたんだと。残業してて良かったな」
……良くはねぇ。何ださっきの……アイツ何を言おうとしてた?
クソ、気になるじゃねぇか、嫌な切り方しやがって。
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