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01


今日も帰宅は遅くなると、ハルは言った。

「俺の家に帰るんならそれでもいいが、危ねぇから外出はするな。誰が来ても出なくていいからな。待ちくたびれたらちゃんと寝室に行けよ」

いつものように注意をされて、最後に寄り道はするなとまで付け加えられてしまった。
ハルはどうにも心配しすぎな気がするんだけど、だからって、口答えなんかできない。今までの自分を振り返ると、反論なんてできなくなってしまうから。

帰り着いたら連絡することを約束して、会社を出た。
帰路はもちろんハルのお家に向かって伸びている。

ハルのお部屋の玄関に入り、すぐに鍵をかけた。二つ目の鍵も忘れずに。
あたしが一人でいる時は、ここまでしないと、ハルは怒るから。
そして、ただいまメールを送ってから、やっと靴を脱いだ。ふぅ。

電気をつけてお部屋を見渡すと、今日も綺麗に片付けられていた。キッチンのシンクだってピカピカで、洗うお皿もグラスも何もない。
お掃除も洗い物もやりたいのに、綺麗好きな彼のお部屋は散らかっていることがほとんどないから、あまりやることがないんだ。
あ……しまった、夜ご飯のことを忘れていた。先にメニューを考えて、途中でお買い物をしてくるんだった。何かをつくってから、ハルにお帰りなさいを言いたかったのに!

冷蔵庫を確認しようとして、ダイニングテーブルの上に何かを見つけた。小さなメモだ。愛姫へ、とは書いていないけど、あたしに向けてのものだった。つくったミートソースを冷凍してるから、それを使うようにと書かれてる。
……今日来るってどうして分かったんだろう? 約束してなかったのに。

書いてある通り、ミートソースはすぐに見つけた。フリーズパックには、レンジで解凍するように書かれている。……こんなのすぐに終わっちゃう。

冷蔵庫の方を開けてみると、ふわりとラップがかけられた、平たくて四角いガラスのプレートがあった。取り出してみると、イチゴとホイップで飾られたプリンだ。うわ、可愛い。
でも、ここにもメッセージがあった。食っていいのは夜飯の後、だって。……一緒にいないのに心の中を見透かされてる。
食べたいのを我慢して、を元の場所に返した。




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あきゅろす。
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