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03


田中に言われるまでもなく戻るつもりだった。この俺が置き去りにするわけねぇだろが馬鹿が。
苛々しながら車に乗り込み、コンビニへと向かう。

愛姫が好きそうなものを適当に選び、俺的に受けつけはしねぇデザート類や、チョコなどもカゴに入れる。
見ているだけでも吐きそうだ……
しかし一人落ち込んでいるだろうアイツのことを考えるとつい、無駄に手をのばしてしまう。こんなに食うのかという考えも浮かんだりもしてしまうが。
いっぱいになったカゴを持ち精算を済ませ、両腕にぶら下げた袋の中身を確認しては吐き気と戦いながら、車を走らせ会社に戻る。







「えーん、終わんない!!」

真っ暗な会社の中を歩いてたところに聞こえてきた愛姫の声。

「くすん……ハルのばか……」

泣きながらパソコンを睨んでいた。

「誰が馬鹿だコラ」
「キャー!!」

急に声をかけたせいで驚き悲鳴を上げた。

「うるせーな。俺だよ」
「……ハル?」

振り向いて泣きながら俺を見る愛姫を見て、みんなの前だったとしても、言いすぎたかと少し後悔した。

「どのくらい進んだ?」
「……聞かないで」

ほとんど進んでないのだろう。

「隠してもしょうがねぇだろ。見せてみろ」

俺に見せまいと両手を広げ、一生懸命に立ちふさがっている愛姫を引き寄せ見てみると

「……思った以上にできてねぇ……」
「……ごめんなさい」
「はあ……昨日も寝てねぇのに。お前のせいでまた徹夜かよ……」
「え?」
「お前はしばらく休んでメシでも食っとけ」

たっぷりと買い込んできた袋を指差して言うと

「わあ、ありがと!」

嬉しそうに目を輝かせ、ガサガサと袋をあさる。

「あっ、チョコだ! ミルクプリンもある! こんなにたくさん高かったでしょ? ありがとう」
「コンビニだぞ。安いに決まってんだろが」

例えばコンビニじゃなく、高級レストランのフルコースだとしても。例えばそれが、巷で騒がれている高級スイーツを一年分だとしても。




安いもんだろ。そんなもんでお前のこの笑顔が見れるのなら。




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あきゅろす。
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