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脂ぎった頭皮に髪を撫でつけた重役達がのっそりと入ってきて、最後に社長が真ん中の席に腰を落とし、会議は始まった。
議題はいろいろあるが、朝からのゴルフで遊び疲れているのか、偉いと言われる地位にいるバーコード達の頭が、まあ回っちゃいねぇ。進行にいちいち嫌がらせのような文句をつけるくせに、意見を求めれば、ろくな答えも返ってこねぇ。そのうち苛立ちを隠すことすら面倒になり、机に手を打ち下ろして立ち上がった。
くだらねぇ嫌みにびくつき、ハンカチで汗を拭いながら紙切れの中身を懸命に説明する、小心者の上司を押しのけた。

「早く終わらせたいのは誰だって同じでしょう。帰りたいのならそれなりの姿勢でお願いできませんかね」

完璧な笑顔で、至極控え目に言ったつもりだったが、周りの連中は取り繕うように、慌てて申し訳ありませんと謝罪の言葉を連発している。

「ここからは私が進行致しますので、皆さんよろしくお願いします」

深く頭を下げて、ざわめく奴らは放ったまま勝手に進めた。
文句ばかりの重役共は、顎から禿頭のてっぺんまで皮膚を赤く染め、かなりの立腹ぶりを見せているらしかった。
しかし何を言われようが非があるのはあっちで、俺が間違ったことを言ったのなら別だが、数分もすれば奴らは大人しくなった。それでもしつこく嫌み程度の横槍を入れる、ジジイの呟きは聞こえねぇふりで強引に進めてやった。いくら社内でぶっちぎりに偉いジジイであろうが、取り合わなければいいんだ。

分厚い紙切れの束の、ようやく半分まで進もうかというとこまできたというのに、今度はポケットの中では、携帯が激しく騒ぎ立てていた。

資料を持つ腕の時計を見れば、すでに1時間半も経っている。思いのほか事の進みが悪いのは、ぐだぐだとだらけた前半のせいだ。
これが世間で言うところの急成長株の会社だとは、ほとほと呆れる。
ふんぞり返ったジジイ達の下で、せかせか働く奴らの出来が良くて助かっているわけだ。




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あきゅろす。
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