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05


「俺は気が短いんだよ。同じことを何度も言わせるな。許されてるのは、今んとこお前だけだ」

頭を掴んで軽く揺すりながら言うと、紅潮した顔で謝罪の言葉を口にした。
毎度のことだが結局は、許してやるしかないのだ。
……俺はこいつに本当に甘い。それが愛姫を選んだ末の結果だ。
こいつが相手だと、結局は折れるということになってしまう。納得いこうがいくまいが、そういう構図が出来上がっているのだ。それは最初から。

鍵を掛け忘れることぐらい、目くじらたてることはないとも思ってはいるが、何かあってからでは遅い。自分一人だけならどうでもいいようなことでも、こいつのこととなると、どうにも過保護になってしまう。自分でも嫌になるほどだ。
子供扱いはするなと言うことも喚くこともあるが、本人がいちいち抜けているのでは、こっちもそうした対応になるのは仕方ねぇことだ。

「オートロックってのは信用するな。あんなもんどうにでもなるんだよ。だいたいお前だって誰かが開けた隙に入り込んでんだろうが」

唇を尖らせたまま黙っている愛姫にも言い分はあるんだろうが、口答えをすれば俺を余計に苛つかせるのは、いい加減に学んでいるようだ。それでも視線は不満そうに俺の目に向いている。

「いいか、お前は自分の家より安全とでも思ってるかもしれねぇがな、ちょっと高い場所に部屋があるぐらいじゃ大して変わんねぇんだよ。合い鍵が欲しけりゃ飯の準備より先にやることはある。いいか? 玄関に入ったら振り返って鍵をかけろ」
「……分かった」
「次はないと思え」
「はい」
「分かったならいい」

頭から手を離すと、ふっと息を洩らして訴えるように、袖を掴んできた。

「何だ」
「あの……ね、あの……」

訴えるはずがはっきり言葉にできず、瞼を伏せて、何でもないと手を離した。
愛姫が何を言い淀んでいるのかなんてことは、顔に全部出ている。
まあ、俺が愛姫がそれを口に出すようにしたんだから、分かって当然なんだが。言葉にさせられれば万々歳だったが、さすがにそれは愛姫にはハードルが高すぎた。
熱くなった感覚か、羞恥を有する理性か。今の俺なら間違いなく前者だ。




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あきゅろす。
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