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「……鳴海先輩に…?」
琉那神兄弟の赤い髪のほう…、つまりは兄の晶が少し声のトーンを落として訊いてくる。
本気で悩んでいる僕を見かねて、気を使ってくれたようだった。
「鳴海先輩は頭良いし、教えるのうまいし、家庭教師してもらうならぴったりだと思うけど」
「なんだよ、晶」
琉那神兄弟のピンクの髪のほう、弟の尚毅が背後から晶の首に腕を回す。その唇は不満そうに尖っていた。
「俺置いて一人で勝手なこと言うなよ」
「しようがないだろ。きいちゃん、マジで勉強できなさそうだし」
「う…」
的確すぎる晶の言葉が耳に痛い。
「指名で選ばれる憧れの風紀委員長が、テスト赤はまずいっしょー」
続けて晶がそう言えば、尚毅も納得したようだった。頭が上下に動いている。
「あー、それもそっかー」
少し機嫌が直ったようで、尚毅が晶にぎゅっと抱き付いた。
そしていたずらっ子のように顔を輝かせた。
「それなら鳴海先輩に教えてもらうと良いよー。まあ鳴海先輩は」
「「スパルタだから頑張ってねー」」
「…………」
鳴海先輩の名前が出たときから何となくそんな気はしていたが、先のことを思うとどうしてもうなだれてしまう。
だが実際問題として、このままだと赤点どころか一桁しか取れなさそうな今、スパルタが嫌だとか言っている場合ではなかった。
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