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イナズマイレブン
雷門

『豪炎寺!サッカーやろうぜ!!』



結局始めてしまったサッカー。日が沈むまでボールを追いかける日々に戻った俺は、なかなか前のように毎日見舞いに行くということができなくなっていた。まあ、雷門から病院までは大分近いから、木戸川の頃と比べれば頻度は高いのだが。




そんなある日、炎の風見鶏の特訓をしていた時だった。
「なあ豪炎寺。土曜の練習終わったら、夕香ちゃんのお見舞い一緒に行っていいか?」
日が沈むまで特訓してやっと着替えていた時、円堂が問いかけてきた。
「別に構わないが」
「え?じゃあ俺も行く!」
「じゃあ僕も」
「俺も!」
風丸マックス半田と続き、結局半数になってしまった見舞い。思わず、苦笑を漏らした。
珍しく土曜練習が半日で終わるため、今回はゆっくり見舞いができるのだ。
最近は美鶴のところに行けてないから、いささか嬉しかったりする。
「じゃあ、土曜の午後は夕香ちゃんのお見舞いだ!」
「おー!」













「夕香ちゃんかわいいのな」
「当たり前だ」
「豪炎寺キャラ違う」
土曜の午後、雷々軒で昼飯を食って花屋で安い花束を買った俺達は、先日言った通り、かなりの人数で夕香の見舞いに来ていた。
未だ眠る夕香を見て、感嘆の言葉を漏らした半田に間髪入れずに返せば、風丸は苦笑しながら花瓶の花を代えていた。
「まあ、豪炎寺の妹ならよっぽどのことが無い限りかわいくならないことは無いでしょ?」
おどけた口調でねー、夕香ちゃん。と笑うマックスに、やっぱりみんなで来てよかったかもなと思う。

そうだ。

「なあ、隣の病室にも行っておきたいんだが」
「は?隣?」
首を傾げる染岡に頷いてみせる。
隣の病室。勿論、美鶴の病室だ。
芦川さんに聞いたところ、中学の最初までは稲妻町の学校に通っていたのだが、すぐにイギリスの学校に転入、そしてまた直ぐに稲妻町に戻ってきた美鶴は、稲妻町で美鶴が戻ってることを知っている友人がいないのだそうだ。
そもそも仕事が忙しくなかなか一緒にいてやれなかったものだから、美鶴と仲のいい子など知らないのだと、自嘲気味に笑っていたのを今でも覚えている。
だから、こうして大人数で行ってみるのも有りかなと思った。

「じゃあ夕香、お兄ちゃんは美鶴のとこに行ってくるな」
そうしていつも通り、夕香の頭をひとなでして隣の病室へと足を踏み入れた。





やっぱりまだ、彼女は青白い顔で眠ったままだったが、不思議と空気は軽かった。


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