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やられたらやり返す、これが常識(マサ蘭マサ)
マサ蘭マサ
お漏らし
狩屋視点















「あれれぇ?どうしたんですか、霧野先輩?」


トイレのドアの前に立って、涙目で俺を睨み付ける霧野先輩にわざとらしく尋ねた。
そしたらただでさえおっかない顔を更に怖くして、霧野先輩は俺に退けと言う。
普段からは想像出来ない様な、低くドスの効いた声だった。
だけど元々の女の子のような顔立ちと、涙で潤んだ瞳で言われたってちっとも怖くない。
更に霧野先輩は股間を押さえながらくねくねと腰をくねらせている。
何とか言うか、エロくて面白い。
にやにや笑いながら霧野先輩を爪先から頭の天辺まで凝視していると、先輩は顔を真っ赤にさせて怒鳴った。


「くそっ、狩屋!今直ぐにそこを退け!」


それは最早懇願だ。
きっと我慢の限界なんだろう。
しっかしムカつく言い方だなぁ。
もう少し可愛くお願いできたら少しは考えてやったのに。
こうなったら意地でも退いてやらねぇっとトイレの扉に寄りかかる。
その絶望的な状況に、今まで我慢していた涙がついに零れ落ちた霧野先輩はぐしゃりと整った顔を歪めた。


「狩屋、ね、ホントに、もうヤバいからぁ…っ!」


今までの威勢の良さはすっかり消え失せ、霧野先輩が弱々しく俺にすがり付く。
ぷるぷると小動物の様に震える霧野先輩は惨めですっげぇ可愛いかった。
もうちょっといじめていたかったけれど、流石にこれ以上は可哀想、と俺はトイレの前から退いた。
それを見た霧野先輩の表情がぱぁっと明るくなった。
俺は馬鹿だなぁと気づかれないように小さく笑う。
この俺が素直に先輩の言うこと聞くわけがないのに。
今までもそうだったのに、今の先輩は全くと言っていいほど俺を疑っていない。
そしてトイレへと猛ダッシュする先輩の腹に、かるーくパンチを一発お見舞いしてやった。
いや、パンチと言うか、すれ違い様に下腹部辺りを強く押したと言った方が適切かもしれない。
クスリと笑う俺に、えって霧野先輩が声を上げたのとじわっと先輩のズボンに染みが出来たのはほぼ同時だったと思う。
先輩はへにゃりと床にしゃがみこんだ。


「あれ?まさか先輩、漏らしちゃったんですかぁ!?」


馬鹿にするような口調で言いながら霧野先輩の顔を除き込むと、余程ショックだったのか顔を真っ青にさせて震えている。
そして一度出てしまったものは最早自分で堪える事は難しいようで、しゃがみこみお腹を押さえた先輩の足元には黄色い水溜まりが出来ていた。
滅多に見れない霧野先輩の醜態に、折角だから記念に写真でも、と携帯電話を取り出す。
しかし、暫く方針状態だった先輩が急にこちらを振り返り鬼の様な形相で「殺してやる、絶対に殺してやる」と冗談とは思えない迫力で吐き捨てたから、俺は逃げるようにその場から立ち去るしかなかった。




そしてこの時俺は、まさか一週間後に自分が同じ目に合わされるだなんて思ってもいなかったんだ。






「その歳になってお漏らしとか、はっずかしーなぁ狩屋?」












END

後書き
蘭丸ちゃんは強い子。

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