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幸せハッピーエンド(京天)
京天
剣城がちょっと可笑しい
若干グロい
ご覧注意
剣城視点














嫌だ嫌だ、止めて、誰か、誰か助けて。
青い綺麗な瞳を大きく見開いて、松風は叫ぶ。
そんでもってそこからは大粒の涙がぼろんぼろりと止まる気配なく零れ落ちる。
不謹慎ながら綺麗だと思った。
それを優しく舐めとると、松風の身体が大袈裟に跳ねた。
ガタガタと可哀想な程震える松風を抱きしめようと手を伸ばすと、ひっ、と短く悲鳴を上げて俺の手を振り払う。
軽く舌打ちをして、叩かれてじんじんと痛むそこをさすっていると、松風がはっとしたようにごめんなさい、そう言った。
相変わらず松風は泣いている。
小さな身体を震わせながら、恐怖で顔をひきつらせながら。
俺は何も言わず松風の頬に手を添えた。
生暖かい涙と松風の体温が心地好くて、思わず笑みが零れる。
しかし松風は何を勘違いしたのかごめんなさいごめんなさい、許して、ごめんなさいを恐怖に満ちた瞳で繰り返し呟き始めた。
ごめんなさいって、お前は何も俺に謝るようなことしてないだろ?と松風の頭を撫でて、額にキスをひとつ。
それから、ごく自然な動作で松風の足にポケットから取り出したカッターを宛がう。
そのカッターを松風の大きな瞳が捉えると、嫌、嫌だ、止めて、止めてよ!って再び喚き出した。
安心しろって、ただお前のアキレス腱、切るだけだから。
今から俺がやろうとしていることを軽い口調で松風に伝えれば、彼はこれでもかって程じたばたと暴れ始めた。
手元が狂いそうになる。
大丈夫、そんなに痛くないように上手くやるからさ。
子供を慰めるように優しく、けれど松風を押さえ付ける腕に力を込めながら言ってやった。
ごめんなさい、俺、なんかしたなら謝るから、だからお願い、止めて、止めてよ。
何時もの松風からは想像できないくらい顔を真っ赤にして泣き叫んで懇願するその姿に、少なからず俺は興奮していた。
心配すんな、お前が歩けなくなっても一生俺が面倒見てやる。
だから、これからはサッカーなんか見ないで俺だけを見てればいいんだよ。
俺だけを、一生。


「愛してる、天馬。」


ぷつり、と神経の切れる音と松風の悲鳴が狭い部屋に響いた。
これでお前は俺の物。嬉しいな、嬉しいだろ?と、狂気じみた質問を嗚咽を漏らして泣く松風にぶつけた。
当たり前だが松風は何も答えない。
聞こえるのは泣き声だけ。
…もう少し、松風が落ち着いたら残りの片方も同様に切断する予定だ。
それが終われば松風とずっとずうっと一緒に居れる。
その頃には松風も泣き止んで、太陽みたいな笑顔を俺に向けてくれるだろう。
幸せハッピーエンドとは、正にこの事だ。
なぁ、天馬。










END

後書き
剣城はこんな怖い子じゃない…!
ってかここ何処なんでしょうね。

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