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真っ黒馬車の行く末(シュウ天)
シュウ天
シュウ視点
















こんな僕に笑いかけてくれる君が好き、好きなんだって。
そよ風みたいに優しい君に恋をしてしまった事実を受け入れるのは容易ではなかったけれど、やっぱり自分の気持ちは誤魔化せないなぁって君の笑顔を眺めて思った。
ああ困った、実に困った。
そう頭を抱えたのは、僕の初恋の相手が男の子、つまり同性だったから…ではない。
別に性別の壁なんて大した問題じゃあないさ。
そんなものよりも、もっと大きな壁が僕と天馬の前には立ちはだかっているんだ。
うーん、なんて言ったらいいのかな。
実は僕、もう死んじゃってる幽霊なんだよね。
なーんて言ったところで信じて貰えるはずもなく、だからと言って今の僕の言葉が嘘って訳でもないのだから、全くどう説明すれば納得して貰えるだろうか。
まぁ別に、信じようが信じまいが僕と天馬とじゃ生きている、あるいは生きていた時代が違う訳で。

はぁぁっと大袈裟にため息を吐き、こればっかりはどうすることも出来ないんだよなぁと項垂れた。
でも、それでも僕は天馬が好き、好きなんだ。
こんなにも誰かを好きになったの、初めてなんだよ。
簡単に君を諦められる訳ないじゃないか。
…と、強がったところで僕にはやっぱり何も出来ないのだけれど。
だからさ、僕待ってるよ。
いつか君が此方側へ来るのを、ずっとずうっと待ってる。


「あぁ、早く死なないかなぁ天馬。」


現世で結ばれないのならば、いっそ地獄で、と。
僕はにっこりと微笑んで、車の下敷きになった君を見た。






地獄に堕ちるのは、きっと僕だけだろうけど。








END

後書き
結局結ばれないねって話。

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