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短編
暖めて(バンガゼ)
バンガゼ
バーン視点
















ガンガンにクーラーのきいた部屋に居るせいか、頭がくらくらする。

だったら、クーラーを消せばいいじゃないか。

確かにその通りなのだが、生憎ここは俺の部屋ではない。
更にこの部屋の住人は極度の暑がりときたものだ。
勝手にクーラーを消したりなんかして、ノーザンインパクトをお見舞いされるのだけは避けたい。

だったら、部屋を出ればいいじゃないか。

全くその通りなのだが、今俺の肩にもたれ掛かって寝ている奴のせいでそれは出来ない。
すやすやと規則的な呼吸を繰り返しながら、時々寒そうにぶるりと震えるガゼルの髪をそっと撫でた。


「寒いんなら、クーラーつけたまま寝んなよばーか。」


ぽつりと呟いた俺の言葉に、何時もなら「黙れこのチューリップが」と悪態をつくガゼルも今は無反応。
黙ってれば可愛いのにな、なんて思いながらガゼルの綺麗な髪に指を絡ませた。
しばらくガゼルの髪を撫でていると、突然ガゼルの目がぱちりと開いた。


「うぉっ」

「……ふっ、間抜け面め。」


起きてそうそうこの一言。
あーぁ、寝てる時は可愛かったのによ。
相変わらずの毒舌っぷりに俺はため息をついた。


さてと、もう俺の肩は解放された。
そうなれば俺がこの部屋に居なきゃなんねぇ理由はない。
さっさとこの寒い部屋からおさらばしよう。
そう立ち上がった俺の服をガゼルが掴んだ。


「…バーン、寒い。」


身体を震わせて、まだ眠そうな瞳でそう訴える。


「あぁ?だったらクーラー消せばいいだろ。」


俺は床に転がっているエアコンのリモコンに手を伸ばす。
その手を予告なしにガゼルが掴み、自分の方へぐいと引っ張った。
当然俺はバランスを崩すことになり、そのままガゼルへ覆い被さるように倒れ込んだ。
慌てて立ち上がろうとするが、ガゼルが背中に手を回して来たため出来なかった。


「ちょ、ガゼル?」


近い。
距離が近すぎる。
同じ男とは思えない程綺麗なガゼルの顔が目と鼻の先にあって、しかも俺は今ガゼルを組敷いている状態(勿論自分の意思で、ではない)だ。
たったそれだけなのに、俺の下半身は元気に反応し始めた。
そんな自分に苦笑いし、俺はガゼルから顔を背けた。
心臓がバクバクと五月蝿い。
今すぐにでもこいつを襲いたい衝動に駆けられる。


「…バーン、私を暖めろ。」


そしてギリギリな状態の俺にこの一言。
ぎゅっと抱き付いて来たガゼルの姿は、俺の理性を破壊するのには十分だった。


「ったく、後悔すんなよ?」

「後悔なんて、するわけないだろう?」

「…上等。」



ガゼルの唇にキスを落とし、俺たちはベッドに沈んだ。










END

後書き
これが自分なりの精一杯の甘々。

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あきゅろす。
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