☆おかえり(翔夢)
翔くんは生放送のニュースを終えて、私の家に帰ってくる。
「ただいまぁ」
最近あちこちに取材で飛び回っていて、なんだか疲れているみたい。
「おかえり。なんかお疲れだね?」
「そうでもねぇよ。やよいの顔見たら疲れも飛んでくし」
嘘ばっかり。
目の下にクマできてますけど。
なんとかしてあげたいなぁ…。
あ!
これは私が癒してあげるしかないかも!
「翔くん、とりあえず着替えて横になって!」
「へ?なんで?」
「いーから!うつ伏せね!」
翔くんは部屋着に着替えると、ベッドにうつ伏せた。
「よっこらしょっと」
私は翔くんの上に跨ると、肩から腰にかけてマッサージをした。
「効く〜!癒されるわ〜」
「よかったぁ」
私は得意気になって、翔くんの筋肉質な身体をほぐす。
しばらくすると、すうすうと寝息が聞こえてきた。
よっぽど疲れてたんだな。寝かせてあげよう。
マッサージをやめてベッドから降り、翔くんに布団をかける。
「翔くんよく寝てる。かわいいなぁ」
髪に触れたくなって手を伸ばすと、布団の中から手を掴まれた。
「しょ、翔くん!?寝てたんじゃないの?」
「お前が恥ずかしいこと言うから目が覚めちゃったじゃん」
翔くん、顔赤い。思わず笑ってしまう。
「なに笑ってんだよ」
「いや、翔くんかわいくて」
「またそういうこと言う!ったく、やよい、こっち来いよ」
翔くんは照れてるのを隠すみたいに、私の手をぐっと引く。
私が翔くんの隣にもぐり込むと、ぎゅっと抱きしめられた。
「言っとくけど、やよいのほうがずっとかわいいから。俺のために一生懸命マッサージしてくれるとことか、すっげぇかわいいから」
翔くんが耳元で囁く。
私の顔が熱くなってくる。
それから、ちゅ、と唇が触れた。
「さっきのおかえし。もう寝るぞ」
翔くんはなんてことないみたいに目を閉じた。
「翔くん!」
「はいはい、早く寝なさいよ?」
「もう!明日何時起き?」
「8時かな 」
私は携帯のアラームをセットした。
「明日は何のお仕事なの?」
「明日?」
翔くんは、ぱちっと目を開けると、
「休み」
と言った。
「久しぶりにどっか行くか」
「本当!?」
「本当。わかったら早く寝なさい」
「はぁい」
翔くんは早くも寝息を立て始めた。
ごめんなさい、翔くん。
私は楽しみで寝られないみたいです。
しばらくかわいい寝顔を見ていよう。
明日、晴れるかな。
end
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