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蛍がこの学園に来てから数週間。
まだ知り合って少ししか経っていないけれど、大分お互いのことは分かってきたと思う。
きっと蛍とあたしは親友と呼べる関係。
でもたまに(本当にたまに、ていうか稀に)蛍は一緒にいても、凄く寂しい目をする時がある。
だから前々から知っていた。
蛍にはきっと、忘れられない大切な人がいるんだと。
そして蛍とその人との間に、到底あたしが踏み入る隙間などないんだということも。
(羨ましい)
嫉妬の気持ちはこれっぽっちもなくて、ただそう思う。
学園に来る前、あたしには親友や恋人(まあ10歳だったし)と呼べる存在がいなかった。
親に愛されているだけで十分だった。
だけど
この学園に来てから、かけがえのない存在というものが
欲しくなった。
(蛍は…きっと違う)
だって彼女にはもういるのだから。
『…大丈夫、卒業まで時間はまだまだあるんだから』
だからそれまでに、
(かけがえのない存在というものが)
出来たらいいな…――
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