freeze
10
『ふぅ…ありがとう』
足を綺麗に洗い、簡単な手当てを終えた玲は靴を履いて歩こうとする。
「…っ、危ない!」
しかし次の瞬間バランスを崩してしまい、それを間一髪で流架が支えた。
『……乃木くん』
必然的に流架が玲を抱き締める形になってしまう。
慌てて流架は体を離そうとしたが、しかし玲がそれを止めた。
「神崎……?」
『…ねぇ、乃木くん。あの時私を抱き締めてくれたのって…あなた?』
玲に見上げられ心臓が高鳴る中、そう問い掛けられる。
「あの時…」
確か、神崎の能力を知った日。
『泣いてる私を優しく抱き締めてくれた…女の子じゃないのは分かったけれど、あの時はそれが誰か確かめるどころじゃなくて…』
そう言って目を細める玲。
「……俺、じゃない。棗だよ…」
『…誤魔化してる?』
ああ、やばい。心臓が持たなさそう。
至近距離で見つめられ、流架は思わず視線を逸らした。
【*前へ】【次へ#】
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!