freeze
5
俺があの馬鹿と付き合ってる、だと…?
イライラとする棗に流架が追い付く。
「棗…そんなに気にするなよ。神崎も悪気は無かったと思うし」
「………」
凄く不機嫌だった棗は返事を返さなかった。
「そういえば…神崎も佐倉みたいに棗を怖がらないよな…」
それに俺のアリスに笑わなかったし。
動物たちに囲まれて幸せそうにする流架の言葉を、しかし棗は聞かなかったふりをする。
木の上で空を見上げていた棗は、あの日のことを思い出していた。
(俺は…どうしてあの時あいつを抱き締めたりしたんだ)
あの時、とは玲が自分の能力を打ち明けた日のこと。
泣いて崩れ落ちた玲があまりにも儚くて、壊れてしまいそうで。
気が付けば自らの腕で包み込んでいた。
「……まさか、な…」
そのうち一つの結論に達したが、あり得ないという風に棗は首を振って目を閉じた。
【*前へ】【次へ#】
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!