幻愛夜想曲
7
「うおっ!なにしてんだ!美猪を汚すなっ!」
その言葉に反応した暁が目敏く見つけ、美猪を霧夜から離す。
「汚すって…」
「あいつは変態だから、美猪みたいな可愛い子になにするか分からないんだぞ」
苦笑する私に暁は真面目な顔をして言った。
「…君は先輩を何だと思っているのかな?」
なんとなく笑顔が怖い霧夜。
「しかし暁、美猪に熱っぽい目で見つめられたら、誰だって変態になるに決まっているだろう」
(認めるんだ…)
じゃなくて!
「わ、私熱っぽい目なんてしてません!」
「美猪、照れなくていいんだよ?」
霧夜の言葉に慌てて否定するも、反論虚しく勝手な解釈をされてしまった。
「ちっ…ちが…」
「確かに。美猪ちゃんに熱く見つめられたら、女のあたしでも…」
(さ、沙紀先輩…)
なんだが居場所がなくなったような気がして辺りを見回し、唯一の味方である玲の隣に移動する。
「…大変だな」
無口だが頼りになる先輩のその言葉に、美猪は頷きながらも楽しそうに笑った。
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