幻愛夜想曲 8 「夜ご飯何にしようかなー」 特に節約をしているわけでもないので、適当に選んでかごに入れる。 レジに持って行き、スーパーを出ると、大分陽が落ちていた。 駅の近くだからか、時間のせいもあり人が異様に多い。 あちこちから車の音や電車の音、電話で話す声や子供の声がし、とても賑やかだ。 (霧夜先輩や玲先輩が嫌がりそうなところだな) 自分の想像に小さく笑う。 さあ帰ろうかな、そう思って歩こうとした時。 『――――!!』 全ての音と動きが止まった。 (な、なんなの…?) 唐突に周りの一切の音が消え、先程までの賑やかな喧騒がなくなった。 周囲は誰一人として動く者がおらず、踏みだそうとした自分の足も動いていないことに気付く。 全身が動かない中、意識だけが自由だった。 (時が止まっ、!!?) その時、向こう側の歩道で人が歩いているのが見えた。 . [*前へ][次へ#] |