幻愛夜想曲 6 「…その通りだ。恐らく空間を制御する能力を持っているのだろう」 俺たちに気づかれる前に空間を遮断している、その玲の言葉に暁が首を傾げる。 「なあ、なんで俺たちに気付かれないようにする必要があるんだ?」 それは尤もな疑問。 (そういえば…どうしてだろう) 「……さあな」 玲先輩にも分からないらしい。 「向こうはあたしたちを知ってるんですか?」 「それは分からない。俺たち能力者の存在のみか、個人のことまでもしかしたら知っているのかもしれない」 (うーん、謎…) 「…学校内にいたとすれば知られていても不思議じゃないが、霧夜が調べた限りでは今年は美猪しかいなかった」 「ああ、ちゃんと四月中には全員調べたからな」 (…四月中?) その言葉になにか引っかかる。 しかしその思考は、休み時間が終わったことを告げる予鈴によって打ち切られた。 . [*前へ][次へ#] |