白百合の憂い 二部 2 「ちょいと失礼、桂小太郎殿とお見受けする」 月明かりが綺麗な満月の夜 橋の上で桂は1人の男に背後から声をかけられる 「…人違いだ」 「心配いらんよ、俺は幕府の犬でも何でもない」 桂はその男から放たれる異様な空気を察していた 「犬は犬でも血に飢えた狂犬といったところか、近頃巷で辻斬りが横行しているとは聞いていたが、噛み付く相手は選んだほうがいい」 そういうとその男は不気味に笑った 「あいにく俺も相棒もアンタのような強者の血を欲していてね、ひとつやり合ってくれんかね?」 男が刀を抜く それは月明かりに照らされ、紅色に光る 「!!…貴様その刀」 フッ 桂が刀を抜く前に 「アララ、こんなものかィ」 ブシッと桂の背中から血が噴き出し、桂はそのまま倒れた 「大した事なかったねェ」 『…やめろ』 「!!またお前か…」 『これ以上…やめろ』 「煩いねェ、斬るとすぐこれだ」 今日も人が斬られ、奇妙な声が響く [*前へ][次へ#] [戻る] |