赤い鳥籠 3 「刹那、来いよ」 高に呼ばれて浴室に入る 高は既に浴槽の中にいた 来い、ということは浴槽に入れ、ということだ 身体に少し湯をかぶって浴槽に入る 温かい、ちょうどいい水温が身体を包む 久しぶりに風呂に入るのがこんなに嬉しいなんて思わなかった 「刹那」 呼ばれて顔を上げると高と目があった 私達は今向かい合わせ 何回も見た顔なのに胸が締め付けられる感覚になる 「もうちょっとこっち来い」 手招きされて高に近づく 「…何?」 高は何も言わずに私の頭を撫でた 途中からわしゃわしゃと泡の音がした 少しして私は高に頭を洗われているのだと気づいた その時の高はとても優しくて、私を見る瞳が優しくて、ふわりと笑ってくれる いつもの乱暴な高じゃない 優しくて自然と安心できる 私は高の頭に手を伸ばした 「どうした?」 その口調も優しかった 「私も…洗う?」 「…あァ、そうしてくれ」 それから私の頭に付いた泡を流してくれた その後私は先程高がやってくれたことと同じことをした [*前へ][次へ#] [戻る] |