月明かりの狂気
3
「起きたんスね」
「……」
虚ろな目でまた子を見る刹那
そんな視線を向けられながらもまた子は刹那に近づいてきた
「アンタかなり遠くまで逃げてたんスね。何のつもりっスか?鬼兵隊副総督ともあろう御方が」
「…元ね、昔の話だよ。今は鬼兵隊に戻ったつもりはない」
「そうっスか」
そう言うとまた子は銃を刹那に向けた
「だったらここにいる意味ないっスね。敵だと見なして撃つ」
「……」
「うん、いいよ」
「!?」
また子は刹那の予想外すぎる言葉に動揺が隠せなかった
「撃ちたきゃ撃って」
「…アンタ、何言ってんスか?」
「いいの、ちょうど死にたかったんだ。それで楽になれるなら撃ってほしいよ」
「…っ!!」
「もう疲れた。私は何のためにいるか解らない。高だって私をどう見てるか解らない」
「…アンタ晋助様のなんなんスか?ちょっと前まではべったりだったくせに」
「…私がいない間に変わっちゃったんだね、高は」
どこか遠くを見るように刹那は言った
また子の銃を握る力が強くなった
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