柔軟概念
第弐頁
原チャリの排気ガスの音が振動となって身体を揺さぶる。
やっとのことでまきあげてきたお叱りは本日何回目の物だっただろうか。
「仕事あるかねィ。」
明らかやる気のない声で時音がヘルメットのゴーグルを上げる。
「ま、まきあげてきたんだし?そいつは後にして糖分取ろうや。イライラする。」
「なんか家賃払えない原因分かる気がすらァ。」
時音が小声で言うと、銀時が振り返る。
「え?何か言った?」
「は。なんも言ってねェし。とうとう耳までパーになったかコノヤロー。」
「そこまで言うかてめェェ!!」
スクーターはそんな馬鹿騒ぎを乗せたままアル小さな定食屋の前で止まった。
「此処にするかな。」
銀時はそう言ってスクーターから降りる。
時音も「安いんか?」と少し顔をしかめてから続けてスクーターから降りた。
「じゃあ俺チョコレートパフェな。」
銀時は入るなりさっそく甘党発言をかました。
時音はブラックコーヒーを頼む。
「よくそんな苦いもん飲めんなお前は。」
「目の前のもん中和させるには充分だ馬鹿。」
「甘味は毒じゃねー馬鹿。」
反射のような言葉のやりとりをしていると、いきなり罵声が耳に飛び込んでくる。
「っせーな。何。」
片眉を上げて時音がコーヒーを啜る。
罵声の後に、豹?チーター?ったくややこしいんだよなんなんですか的な奴ら(お前が何)も絡んで、いっそう五月蠅くなった。
時音がチッと舌打ちをしたその時、何かがテーブルに思いっきりぶつかった。
パフェとブラックコーヒーがまるまるこぼれる。
「あ…ああ〜…。」
特に困った様子でもなく、だらしない言葉を発しながら時音は銀時の方を見る。
「やーとけぎn…」
時音の声も聞こえないらしく、甘味を台無しにされた銀時は、虎?豹?いい加減にしろてめーら何ホント、みたいな奴らの前に立った。
「おい。」
耳をつんざくような効果音が定職屋を激しく揺らす。
間髪入れず、天人(結局ソレかィ)が次次と倒された。
死んだような目のまま時音は銀時にもう一度声をかける。
「ぎn「俺はなァ…。」
呼び止めても銀時は止まらない。
「医者に止められてパフェなんて一週間に一回しkブッッ!!」
銀時の台詞が終わる前に時音が何を思ったか腹に回し蹴りを決め込んで外へ飛び出した。
店のドアは驚異的な足によって跡形もなく全壊する。
周りが反応しないうちに、時音は銀時を蹴り上げてスクーターに乗り込んみそのまま逃走した。
「っておぃいいいいいいいいいいい!!!原作とまるでちげぇじゃねえか!!俺の晴れ舞台は?どうしてくれんだよチキショォオオ!」
「何がチキショーだコノヤロー。自分の恥をさらしやがってなんかイラッときたんだよオイ〜。」
「完全嫌みと気分じゃねェかァァ!!」
銀時がつっこんだ直後、後ろから少年の罵声が聞こえた。
それはだんだん近くなって、とうとうスクーターの隣まで来てしまっていた。
驚くべき脚力である。
一瞬間を置いて、銀時が思い出したように言った。
「あれ?あの店のガキじゃねーか。なにそこだけちゃっかり原作沿い?」
「銀。知り合いか?よくあんな地味な「おいいいいいい!!憶えていないんかぃ!!さっきあんた達がいた定食屋のこともう忘れたの?!」
「ああ。どうでもいい事は即座に記憶から削除する人間なのよ。ごめんス。」
悪気なさそうに時音顔の前で片手を縦に上げた。
「忘れるなぁああ!!ごめんスだけで済むなら僕だって困らないんだチキショーォオ!!」
「んだコラ。お前のような簡単パーツじゃ困っているかどうか分からないよー。その前に存在の有無が分からないよー。」
「酷っっ!!」
新八の対応に少し疲れ、とうとう時音は足を振り子上に振り上げて新八の股を蹴り上げた。
あああああああ大事なとこr(殴
「ったくうるせェないちいちいちいちィィ!!レジも打てないのに仕事なんかやってんじゃねェよ!お前なら他の仕事見つけられるさ信じてる!!」
「仕事台無しにしたのお前だろォォ!!」
股を押さえながらも新八はつっこんだ。
銀時が暴走する時音の頭をひっぱたくと、お江戸ストア(なんか横にあった)のドアが開き女の人が出てきた。
「あら?新ちゃん?こんな所で何やってるの?お仕事は?」
にこやかなその笑顔からは何か恐ろしいオーラが出ていた。
新八はその女の人を見ると、顔の影を濃くして驚いた。(どんな驚き方?!)
「げっ!!姉上!!」
「えっ?おねぇさん?!」
時音がすぐに聞き返す。
新八の姉という女性…もとい妙からはどす黒いオーラが湧き出ていた。
時音はなんだとばかりに少し気持ちを落ち着かせる。
ソレと同時に足を後ろに引いた瞬間…
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