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Short story
教室



廊下でぶつかっても謝りもしない。
おまけに「うるさい、サル頭」ときたもんだ。
人の髪型のことはほっとけ。


「じゃあ、お前はトリ頭だな」


むかついたから言い返してやった。
真っ赤なトサカみたいな頭しやがって。
お前馬鹿だろ。


「……むかつく奴」

「お互い様だろ」


初対面での第一印象は、お互いに最悪。










なのに。
次の年には同じクラスになって。


「タカハシ――」

「なんなんだよ、お前はよ!」


俺の席までいちいちくるんじゃねぇよ。
だけど俺の睨みなんか全然平気なお前は。


「別にぃ」


憎たらしい笑みを浮かべて、いつもそう言う。
それしか言えんのか、お前は!!
そんな俺の心の中を読み取ったのかどうかは知らないが。


「だってお前、なんかむっずかしーの読んでんだもん。………『古代四大文明の秘密』?何それ?」


こういうの好きで悪いか。
っつうか、馬鹿はおまえだっつーの!
ついさっき授業でやったろうが!


「っていうか、返せ。………邪魔すんな」


俺の持っていた本を取り上げて、興味なさげにに中をぱらぱらとめくっている。


「ふーん、なんだつまんない」


だろうよ、お前にはな。
俺は机に置かれた本に手を伸ばして、やめた。

……読む気失せた。










馬鹿で、おまけに口も悪い。
それに加えて、自己中、我が儘。
なのに、憎めないのは。









俺は席を立ってお前の目の前に立つ。
お前の方がほんのちょっと低いくらいで、体格なんかはほとんど同じ。


「タカハシ、つまんないんだけど?」


いたずらっぽく笑うお前。


「………うるせぇよ」


うるさくて仕方がないから、その口を塞いでしまおうか。














「やっぱりタカハシって、キス上手」

「………お前、最悪」

「なんだ、わかってんじゃん」


そう言って笑うお前と、呆れて溜息をつく俺。





今現在俺たちは。
なぜだかクラス、いや全校公認の恋人同士だったりする。





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あきゅろす。
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