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Short story
図書室





「お前何やってんの?」














「本読んでる以外にどう見えるわけ?」


どう見たってそれしかないだろうよ?











ここは図書室なんだし。









素直に答えない俺。




目の前の彼ーー高木は、その整った顔を、少ししかめた。



「………何、読んでるんだ?」



めげないね、お前も。



「知りたい?」



でもやっぱり俺は、意地悪い。
………特に、高木に関しては。

そんなのとっくに自覚してる。



「………おまえって、やな奴」



少し、嫌そうに言ってはいるけど。

ねぇ、高木?



でも、そんな俺が気になってるんだろ?

口にこそしないけれど。




「そ?でも、そんなやな奴に会いに、毎日ここまで来るんだもんね?










………活字嫌いな陸上部の高木君?」



「――――そんなんじゃねぇよ!」



慌てて否定するから、俺は「あ、そうなの?」って軽く騙されたふりをしたけど。










嘘つき。

こんな風に向かい合って座っちゃって。

ここはグラウンドから、一番遠い第3校舎の、3階だぞ。

しかもお前、棒高跳びの選手じゃん。

いくらウォーミングアップだとかいっても、やりすぎなんじゃないの?

俺は、騙されないよ。

ここには、図書委員の俺以外に誰もいないんだし?



「で、何読んでるんだよ?」



話を元に戻したな。

俺は、ちらりと自分の手の中にある本に目をやる。

どうしようかな………。



「知りたい?」



もう一度聞く。

今度は高木を見上げて、にっこり笑顔つきで。



「っ……知りたい」










俺は知ってる。

高木が俺のこの笑顔に弱い事を。

現に今、高木の体がぴくってはねた。
……心なしか、顔が赤いし。

言わないお前が悪いんだからな。

せいぜい俺の一言一句に振り回されてろ。

でも。










俺もそろそろ、我慢の限界。



















「……じゃあ、教えて………」







そしたら俺も教えてあげるよ。

この本の内容も、俺の気持ちも。

だから言ってよ。







俺のこと、好きだって。





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