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願わくば一つの愛を…。
3
別に話してもいいんだけど…。
これってちゃんと進路になってんのかな?

皆は自分の夢とか
色々考えてるのに…。
俺のは夢って言うより……。

「…何か悩みあるなら聞くぞ?」

よっぽど深刻そうな顔をしてたのか急に真剣な顔になる笹ちゃん

…うん。
やっぱり教師だったんだね。

「…お前。今、失礼なこと考えただろ?」
「えっ!?なんで??」
「今のは勘…でもって紫月の顔見てれば分かる。」

うわぁ〜お。
笹ちゃんスゴイいつの間にそんな特技身につけちゃったの?
なんか色々と感動しちゃったわ

「…たまに思うが、紫月って器用に人の話を聞かないよな?」
「そうかな?」
「それともわざとか?」
「無意識です。」

うん。多分ね…。

とりあえず、笹ちゃんには今思ってることをすべてぶちまけてみた。
ちなみにちゃんと考えもあり、色々と自分で決めたことも含め

「……杞憂だったわけだな。」
「?」
「てっきり、紫月のことだから何も考えてないのかと思えば案外しっかりとまとまってることに驚いた」

うん、教師のクセに失礼なこと連呼してるし
まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんだけどね。
俺はこう見えて案外しっかりと考えてますからね!

「じゃ、俺が心配しなくても良かった訳か…」
「そうでもないよ?俺的には笹ちゃんに怒られると思ってたし?」
「?」

だってそうでしょ?
他の教師に軽く話した時は最初はいいけど後半はほぼ

「それも大事だけど、将来の夢がある奴、ない奴では全然違う」

…とか、色々と言われたのを今でも覚えてる。

「そうか?俺は今まで何年も進路相談して来たが紫月のが一番良かったぞ?」

お母さんの為に少しでも楽をしてあげられる様に考えて、学校通いながらもバイトをしたりとか具体的な考えがしてて…。

と笹ちゃんは言った。

大抵の奴は夢に目指して頑張ります!とか言って結局途中で中退したり、挫折したり、あんまりいい結果聞いてない。
それに…。と笹ちゃんは付け加え

「有沢や矢沢みたいな奴等の方が案外しっかりとしてるのも知ってるしな」
「有沢と矢沢が?」

あれま意外だわ

「あいつ等もあぁ見えて案外ちゃんとしてんだぞ?とくに有沢はしっかりしてたな…。」

どうやら笹ちゃんは先程の進路相談の時の話を思い出しているのかしばらく無言で何やら考えていた。

「ま、それが本気かはわからないがな」

ニカッと笑う笹ちゃんに本当に笹ちゃんは他の教師達と違うなとしみじみと思った。

何と言うか…。
親近感が湧く?
なんかそんな感じ…?

「ま、安心はしたな。」
「俺も結局はどこまで行けるかはわからないけど…。でも…」
「でも?」
「母さんと羅紀は苦労させない。させたくないから頑張る」

そう言う俺に対し、笹ちゃんはそっか…とだけ言い
突然、手を伸ばしたかと思えばわしゃわしゃと俺の頭を撫で出した。

「うわっ!?なに!?」
「いや、なんか急にやりたくなった」
「うわぁ〜セクハラ」
「アホか」

ベシッと思いっきり頭を叩かれました。

今更だけど…。
教師が暴力振るっていいんですか?

「気をつけて帰れよ。」
「は〜い。笹ちゃんも間違っても襲わないようにね〜」
「襲うかっ!」

笹ちゃんの律儀なツッコミに俺は無意識に口元が緩むを自覚しながら職員室を後にした。

そのまま教室へ向かい
帰り支度をしていたら後ろから突撃をされた。

「のわっ!」
「相変わらず鈍臭いな〜」

ケラケラと楽しそうに笑う少年…。
振り返らなくても分かる

「らーきー…。」

そう、俺の弟…。

紫月 羅紀(しづき らき)

暗い茶髪のショート、襟足が長く
切れ長の吊り目、焦げ茶色の瞳
男のクセにやたら綺麗な顔立ちしていて俺とはまったく顔が似ていない
背も俺より高い

それもそのはず…。
羅紀は俺の本当の弟ではない。

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