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願わくば一つの愛を…。
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「というか、行かなくいいのか?」
「何が?」
「職員室」
「あ…。」

柏の言葉にしまったという表情を浮かべる聖羅に柏達は呆れた。

「本当にこれで大丈夫なのか?」
「色々と不安だよな……。」

不安げに言う柏と森高に対し、守田はう〜ん。と少し考え

「大丈夫じゃないかな?これが紫月なわけだし」
「モリは本当にマイペースだよな。」

モリというのは守田のことです。
って誰に言ってんだろ?

「でも、気をつけろよ。」

森高の言葉に首を傾げる聖羅

「有沢、矢沢と誰が呼ばれてたっけ?」
「なんか居たな…。」

森高の言葉に柏は誰だっけ?と首を捻る

福田君です。
二人ともさりげなく失礼だぞ

「福田だろ?」

今だ名前が出て来ない森高と柏の姿を見て、見兼ねた守田が正解を出した。

「「あ〜、福田ね。」」

声を揃えて言うが…。
お前等完全に福田君の存在ないだろ…。

福田君はこう言っちゃなんだが、根暗だ。
いや、けして根暗ってわけじゃない。
大人しいんだ。
それもものすごく。

俺もあんまり話したことないけど…。

柏と森高はどちらかと言えばクラスの中心的な感じだからあんまり眼中ないのかもしれない。

「それで、気をつけろよって何が気をつけろよ。なの?」
「あーわりぃ、有沢と矢沢のこと。あいつ等も呼ばれてただろ?」
「うん。それが?」
「絡まれるなよって意味」

あーなるほど…。
確か有沢と矢沢って言ったら、確か有名だわ
ちなみに柏と森高って名前も名前は通ってるけど悪い奴等でない。

最初こそ近寄り難い雰囲気があったけどあっちから気さくに話しかけてくれて案外普通にだったのを覚えてる。
それから、柏と森高はクラスが違う時でも遊びに来てくれてた。

案外、面倒見もいいんだよな。

「大丈夫だと思うけど…。気をつけるよ。」
「おう、気をつけて行って来い」
「途中迷子になるなよ〜」

片手を上げ行って来いと言う森高に対し、やっぱりマイペースな守田

ていうか、迷子って…。
俺はガキか!



「……ちゃんと、考えとけよ!分かったかー」

守田達と別れ、職員室へ向かうとちょうど有沢と矢沢が出て来た所だった。

というか本当に有沢と矢沢って仲良いよね。

「紫月!お前が最後だぞっ!早くしろ!!」

そんな大声で呼ばなくても聞こえてます。
そして、そんな大声で呼ばないで下さい。
有沢と矢沢がめっちゃ見てますから!!

「…失礼します。」

職員室に入り、ちょうど右側の奥に笹野先生がこっちだと手を上げて居た。

「笹ちゃん。あんな大声で呼ばないでっ!いたっ!?ヒドくない!!?いきなり、頭を叩くって」
「ヒドくないし、何度注意したら分かるんだ?」

笹野先生こと笹ちゃん。
実は結構、俺と笹ちゃんは仲が良いです。
普段はそんな素振りも見せないけど、今は誰も居ない為、普通に言ったら見事叩かれました。

「だってさ〜。笹ちゃんともう最後かと思ったらねぇ?」
「その残り僅かな貴重な時を寝ていた奴がよく言う」

呆れた眼差しを向ける笹ちゃんに俺は舌を出し、あっかんべーをした。

「いいじゃん。眠かったんだし」
「…それは俺の授業が暇ってことか?」

額に青筋立てる笹ちゃん
アハハ…。
スゴイ鬼の形相

「違う違う。むしろ逆だよ。笹ちゃんの声聞いてると気持ちよくてさ…。こう…ね?」
「ようは、一緒じゃねぇか……。」
「分かってないな〜」

深い溜息をつく笹ちゃん

本当に分かってない。
授業が退屈で寝ているわけじゃない。
むしろ、笹ちゃんの授業は分かりやすい。
それでいて伸び伸びと授業が受けられる。
こんなことってある?
普通じゃありえないよね?

「ありえないのはお前だ…。」
「あれ?なんで分かったの??」
「無意識に口から声が出てる」

こりゃ失態。
今度から気をつけなければ…。

「ところで、なんで俺呼ばれたの?」
「進路、紫月だけだぞ?ちゃんと聞いてないの」
「あ〜そっか…。」

途端、口ごもる俺を見て不思議そうに見つめる笹ちゃん

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あきゅろす。
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