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願わくば一つの愛を…。
中学生活も残り僅か…。
〜♪〜♪〜♪〜

「…よし、ここまでのちゃんと復習しとくように……」
「……月、……紫月!」
「……?」

とんとんと、左肩を軽く叩かれ、夢見心地のまま軽く起きると
チャイムが鳴り終わると同時に、担任の笹野が何か言っていた…。

そこで漸く、先程まで深い眠りに入っていた少年…。

紫月 聖羅(しづき せいら)は目を覚ました…。

薄茶色のベリーショートの髪
横髪だけがやたら長いが先程まで寝ていたせいか若干、寝癖で左側の髪が跳ねている。
薄茶色の瞳に、大きい目なのだが、切れ長の吊り目
まだ、幼さが残るせいか
それとも中性的な顔立ちのせいか
はたまた、体格のせいか

同い年の男子達に比べるとかなり、印象が女の子に近い…。

いや、確実に女の子と間違えられそうな顔立ちや体型をしてる。

少年……。
聖羅は、ウ〜ン。と両手を前を伸ばし、欠伸をした。

その姿は周りから見ると、猫が背伸びした時の姿に似てるなど本人は知るよしがない。

「…相変わらず、よく寝るよな?」
「……?、あぁ…さっきはありがとう。おかげでよく寝れたよ。」
「ありがとうってお前な……」

先程、聖羅の肩を叩き起こしてくれた後ろの席の守田に目を擦りながらお礼を言うと。

守田はやや呆れ気味な様子で「いいよ。」と、告げた。

「有沢!福田!矢沢!それと…紫月!お前等は後で職員室に来い。」

突然の笹野の呼び出しに聖羅は首を傾げ、後ろの席の守田も何やったんだ?という表情で聖羅を見つめていた。

心当たりと言えば…。
やっぱり、先程の居眠りかな?

あと、考えられるのは…。
あ…、進路のことか…。

自分のことなのにどこか他人事の様に考えてる自分にそれでいいのか?と思うが自分のことなのだからそれでいい。

俺は、今中学3年…。
人によって考え方は違うけど、楽しい中学生活もごく僅かになってしまった。

残りの数ヶ月…。

楽しい高校生活を送る為に準備をする者
期待と不安で満ち溢れる者
残りの時間を有意義に過ごす者

それぞれがそれぞれ
中学最期の楽しみ方をしている…。

じゃ〜。俺は?
こう見えてちゃんと考えてます。
無事、高校にも受かってます。

じゃ、何故。進路相談かと言うと…。

俺的に、しっかりとした計画はあるが…。
それは他の人達とは違う感じだからだ。

他の人達は皆
夢を持ち、それに向け
色々と努力をしているが、俺は違う。

俺の家は、ハッキリ言えば貧乏だ。
本当なら高校に行くことすら躊躇する。
高校に行く時間あったら働きたい。
少しでも家族を楽にしたい。
それが俺の本音なのだが…。

母さんにそれを話したところ…。
まる見事殴られたのはだいぶ前のこと

『子供が余計な心配してんじゃねぇよ』と

母さんはそう言うがやっぱり子供としては余計ではなく。
当たり前の心配だ。

そういう訳で色々話し合った結果
とりあえず、高校に行きながらバイトをすると決めた。
しかも、ちゃんと両立することが条件で…。

ちなみにこれらすべて担任の笹野先生には話していない。

面倒臭いから…。
なんか言われそうじゃん?

「…月!……紫月!聞けっ!!」
「いたっ!?」

突然、後頭部に衝撃を受け、何事かと後ろを見ると、同じクラスの柏と森高が呆れた眼差しでこちらを見ていた。

守田は相変わらずだな〜。と笑っていたが…。

「…何も叩くことないじゃん!」
「お前がさっきから上の空だからだろ?」
「そうそう」

柏の言葉に森高がうんうん。と頷く

「…上の空って……。何か言ってたの?」
「「「………。」」」

俺の言葉に柏、森高、守田はしばらく無言になり、深い溜息をついた。

そんなに溜息をついたらハゲるぞと言ったら、「誰のせいだっ!」と柏と森高に叩かれた。

うん、普通に痛い…。

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あきゅろす。
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