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願わくば一つの愛を…。
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「抄、手加減はいいよな?」
「うん。でも一応、聖羅の前だから加減はしないとね?」

柊兄は抄兄の言葉を聞くと舌打ちをして一瞬だけこっちを見た。

「…!」
「大丈夫だよ。ちょっと間だけ目を瞑っててくれる?」

抄兄はそういうと俺の両耳を塞いでくれた。
そこまで過保護にしなくても大丈夫なのに…。
そう思っててもやっぱり正直怖かったりする。

だって、今の柊兄と抄兄は俺の知ってる柊兄と抄兄じゃない…。
だから、お言葉に甘え目を瞑った。

…数分後。
抄兄が大丈夫だよと言うので目を開けると、そこには誰も居なかった。

「??、さっきの人達は?」
「利口な子達だから柊が話しをしたら分かってくれたみたいだよ。」

柊兄が話…。
うん、なんとなく分かった気がするよ。
だって、抄兄の顔がやたらご満喫だもん。

「「……にしても…。」」
「……な、なに?」

ジロリと柊兄と抄兄に睨まれ、心当たりはないのにビクッとしまう。

「なに、普通に狙われてんだよ。」
「いふぁいれす」
「しかもさ〜。結構本気だったしー」

だ・か・ら!
痛いですっ!
柊兄には右頬を引っ張られ、左は抄兄に引っ張られ痛い
しかも、柊兄に関しては加減なく
抄兄は加減はしてるが徐々に力を入れてる。

俺、何もしてないのになんでこんな目に合わなきゃならんのだ!

「いふぁい!放して!」
「「イヤだね。」」
(イヤだねって子供か!)

俺はなんとか放して欲しくて柊兄と抄兄の手を叩くが効果はなし
強く引っ張る柊兄と力加減をうまく考えながらやる抄兄のせいで痛さ加減も地味に痛い。

「いい加減、放してよ…。」
「「………。」」
(これは、ヤバいだろ。)

聖羅は知らなかった…。
散々頬を引っ張られたり、力加減を調節してたせいか地味に痛くて欝すら目が潤んでいたことに。
それに加え双子の方が背は遥かに高い訳で必然的に上を向くことになり、双子には上目遣いになって見えてしまっていることを……。

さっきまで散々人の頬を抓ったり、引っ張ってた双子が急に大人しくなるのを不審に思い。
双子の少し側に寄った瞬間…。

「「悪い子にはお仕置きだな(だよね♪)。」」

ニヤリッと笑い…。
突然、俺の手首を掴み
服の上から脇腹や俺の弱い箇所を擽り出した。

「ちょっ!な、なに!?ヤメッ!」
「あんな姿見せるから野郎に襲われるんだよ」
「お、襲われ…てないし、何もして、ない…よ!イヤだったら!」

その後は悲惨だった。
俺は本当に擽りは苦手だから双子にずっと擽りをされて立ってるのもやっとになってしまった。

「もぅ、しつこい!やめてってばっ!アハハ!!ひゃ!!?」
「「!!?」」

な、今…。

ふざけて擽りをしてた柊兄と抄兄も固まってしまった。

俺はというと、あまりの恥ずかしさに全身から湯気が出るんじゃないかと思うくらい。
カアッーと熱くなった。

「///ッ…今のは…違うからねっ!」
((///…何が違うんだ?))

双子も自分達の悪ふざけでやってしまった行為とはいえ…。
先程の声は自分達の心臓に悪いと動揺してしまった。

「と、とにかく!今日これから理事長さんに会いに行かなきゃならないの!連れてって!」

半端ヤケクソ気味に叫ぶ聖羅に今だ先程の聖羅の声が耳に残る双子は直視して見ていられなかった…。







「…でも、本当に変わってないよな?」
(いろんな意味でね)

柊はマジマシと聖羅を見て告げる中抄はただ一人先程のことや細かいことを思い出し、浅く溜息をついた。

「そんなことないと思うけど?」
「いや、変わってない。」
「何もそんな言い切らなくても…。」

確かに身長もあんまり伸びてないけどこれでも昔に比べてちょっとは高くなったし、変わったと自分では思ってる。

逆に双子が成長しすぎなんだと俺は思ってる。

そうだよ。
俺は普通だよ…。
柊兄達が成長しすぎなんだよ。
…うんうん。

「……本当。変わってないよな…。」
「うん。昔から度々どっか飛ぶ辺りね…。」

一人、納得しうんうん。頷く聖羅を双子は何処か遠くを見るような目で見ていた。

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あきゅろす。
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